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岩盤亀裂内の広範囲地下水、流れやすさを簡便推定 原子力機構が新手法

岩盤亀裂内の広範囲地下水、流れやすさを簡便推定 原子力機構が新手法

亀裂内の地下水の流れ方と亀裂内の狭い範囲の地下水の流れやすさのデータを統合して、亀裂内の広い範囲の地下水の流れやすさを簡便に推定する手法の概念図(原子力機構提供)

日本原子力研究開発機構の尾崎裕介研究員と石井英一グループリーダーは、岩盤の亀裂内の広範囲な地下水の流れやすさを簡便に推定する方法を開発した。ボーリング調査で得られるデータだけで推定でき、情報が少ない状況での地下水流動解析の効率化や精度向上につながる。調査にかかるコストや期間も大幅に削減できる。高レベル放射性廃棄物の地層処分のほか、地熱開発やトンネル工事などに広く役立つ。

周辺環境への影響低減のため、地下水の流動評価は欠かせない。だが、ボーリング調査は周辺数メートルの局所的な流れやすさしか分からず、広範囲の流動解析には使えなかった。開発手法は水の流れ方の変化を考慮することで、1本のボーリング調査で数百メートル―数キロメートルスケールの地下水の流れやすさを推定できる。

原子力機構はこれまでに、地圧を岩石硬さで割ったDIという指標を用いて、狭い範囲での水の流れやすさを岩石種類によらずに推定する手法を開発。また、亀裂中の水の流れ方はDI値で分類できることを見いだした。

広範囲に見た場合、水の流れやすさは流れ方の違いによる影響を大きく受ける。そこでこれまでの知見を統合し、数値シミュレーションの予測精度に重要な有効透水量係数の推定方法を考案した。

従来、広範囲推定には複数のボーリング調査や10年程度の長期間の原位置試験が必要だった。ボーリング調査は1本数億円かかる。

日刊工業新聞 2024年06月13日

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原子力機構の『価値』
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