作業実績の積み重ねでアバターが成長、三菱電機の新システムでスキル向上実感
三菱電機はアバター(分身)を成長させることにより、作業者が製造現場で楽しみながらスキルの向上を実感できるシステムを開発した。作業実績の積み重ねや作業者のスキルに応じてレベルが上昇し、アバターの武器や衣装を変えて着飾ることができる。試験的に導入したところ、モチベーションが20%向上した。生産性向上や離職率改善などにつながることを期待している。他社との協業を模索しており、2025年にも実用化する。
開発したシステム「ファンファクトリー」はスタートアップのトランスミット(名古屋市中村区)と共同で手がけた。三菱電機の工場自動化(FA)とITの統合ソリューションである「イーファクトリー」により、一つの製品を作るのに必要な「サイクルタイム」を自動的に取得後、開発したシステムへと情報を共有する。
FA事業の中核工場である三菱電機の名古屋製作所(名古屋市東区)で23年12月から4カ月間、試験導入した。サーボモーターの組み立てを対象に約10人が参加し、「サブ組み立て」「組み立て」など4段階の工程で実施。作業進展や目標作業時間の達成に応じてレベルが上昇し、それに応じて衣装などのアイテムを得る。
モチベーションの向上に加え、作業者の成果が可視化されることにより、達成感も40%向上したという。達成度などに応じたポイント付与や、ポイントを用いてのアバター用アイテム獲得、社内コンビニエンスストアで使える社内金券への交換などを検討している。
他企業の生産現場での試験導入を検討しているほか、他社との協業を通じたシステムやゲーム性、操作性などの改良により、事業化につなげていく。
日刊工業新聞 2024年6月12日