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ニッカ創業90年、アサヒが60億円投資でウイスキー強化

ニッカ創業90年、アサヒが60億円投資でウイスキー強化

ウイスキーを手にする松山社長(左)

アサヒビールは5日、子会社のニッカウヰスキーの創業90周年に合わせ、2024年中に樽(たる)貯蔵庫を新設するなど約60億円を投じて事業を強化すると発表した。需要増が続く国産ウイスキーの安定供給のため、設備投資を今後も継続する。また、新コンセプト「生きるを愉(たの)しむウイスキー」を策定。これを体感できる「コンセプトBAR」を7月に都内で開設するほか、ロンドンやパリなどでイベントを開く。

ニッカウヰスキーは7月2日に前身の大日本果汁の設立から90周年を迎える。これを機に洋酒事業のさらなる強化に乗り出す。都内で開いた方針説明会で松山一雄アサヒビール社長は「100周年のカウントダウンに向けプレミアムウイスキーカテゴリーを拡充する」と強調した。

栃木工場(栃木県さくら市)に樽貯蔵庫を新設し、9月に稼働を予定。能力は21年比1割増を見込む。また余市蒸溜所(北海道余市町)と宮城峡蒸溜所(仙台市青葉区)で新貯蔵庫の設計と樽購入を実施する。25年以降も設備投資を継続する方針だ。

新コンセプトはウイスキーのユニークな魅力と多様な楽しみ方を提案する。体感できるコンセプトBARではウイスキーのカクテルを提供するほか、展示やグッズ販売を行う。海外ではロンドンやパリ、ローマ、ニューヨークなどのバー内でイベントを計画する。

さらに90周年記念のブレンデッドウイスキー「ザ・ニッカ ナインディケイズ」を7月と10月に国内外で計4000本を発売する。1940年代から2020年代までの150種以上の原酒をブレンドした。消費税込みの価格は33万円。

ニッカウヰスキーは国産ウイスキーの海外市場での評価をさらに高めることで、輸出を拡大する。松山社長は「現状、ニッカは世界のプレミアムウイスキーカテゴリーで40―50位だが将来10位内を目指すのが志(こころざし)」と述べた。

日刊工業新聞 2024年6月6日

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