超高速・型締め力20トン…ヒシヌママシナリーが開発、新ダイカストマシンの性能
ヒシヌママシナリー(埼玉県嵐山町、菱沼省三社長)は、超高速で型締め力20トンのダイカストマシンを開発した。金型を締める最新の型締め機構や金型の真横から溶けた亜鉛を直接鋳込む「パーティング射出」方式を採用し、1サイクル5秒台を目指した。6月に発売し、中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)の日本企業に販売。量産対応が求められる電気自動車(EV)用FAKRAコネクター向けを中心に訴求し、年間10台の販売を目指す。
新開発の「U20ZR」は亜鉛を溶かして成形するホットチャンバー式。型締め機構では、金型を開閉するための支えとして必要なタイバーを従来の4本から2本に削減。これにより、隙間が広がり金型交換の作業性が高まり、段取り時間短縮や製品落下時のタイバーとの干渉をなくせるなどの効果が見込める。
パーティング射出方式のため、溶けた金属(溶湯)の射出口から金型までの距離が短くスプルー(流路)もない。溶湯を金型の後方下部から押し込む通常方式に比べて流れがスムーズな上、金属使用量も減らせる。また圧力も小さいため金型寿命も長く、スプルーレスの分、金型を開く時間などを短縮できる。
インゴット投入機や製品検知カメラシステムのカスタマイズにも対応し、製品を取り出す専用高速取出機も開発中。8月には油圧回路に新開発のサーボ制御を搭載した2号機も完成予定で、11月に開催される「日本ダイカスト展示会」に出展する。
ヒシヌママシナリーはアルミニウムや亜鉛などさまざまな金属向けのダイカストマシンを手がける。今回の新機種は中国で特許を申請中で、投入を機にEV市場を深掘りする。
日刊工業新聞 2024年5月30日