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大学改革専門人材を倍増…新潟大、外部資金獲得へ

研究支援など新人事制度

新潟大学は大学改革を企画し推進する「ユニバーシティーアドミニストレーター(UA)」職の仕組みを確立する。2023年度新設のUA室を中心に、産学・地域連携の専門人材や研究支援のリサーチアドミニストレーター(URA)などをまとめ、新人事制度を整備する。約10年間でUAを倍増させ戦力とし、32年度の外部資金獲得額を23年度比2・4倍の年77億円に引き上げる計画だ。

※自社作成

新潟大のUAは大学と外部機関との協働で、大学改革と資金獲得を連動させる高度専門人材だ。研究支援以外にも産学共創、地域連携、寄付金集め、教育、デジタル変革(DX)、情報分析、戦略広報、知的財産、施設・設備などあらゆる分野を対象とする。

UAは23年度の25人を32年度で50人にもっていく。連動して動く事務職員は45人を70人に増強。これにより外部資金獲得は年32億円を77億円にする。24年度中に対象者をUA室に配置換えし、各機構や本部にUAを派遣する形にして全学を支える。

優れた人材を獲得・育成するため、教員職とも事務職とも異なるUA職の人事制度を整備する。ジョブ型インターンシップ(就業体験)などを経て大学院修了相当の実務経験者を採用。年俸制職員として昇任試験を受けながら、理事を目指すのが一つのモデルとなる。すでに公共政策の大学院博士課程に在籍する事務職員が、試験を受けUAに転籍する例が出ている。

国立大学の経営は、一部の教員に頼り負担が偏る傾向がある。事務職員は執行業務が中心で、企画系業務に携わっても人事異動があり、学外協働をリードしづらい。どちらでもない“第3の職”としてURAがあるが、部局採用の任期制が中心で半端な形となっている。

日刊工業新聞 2024年05月16日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
教員とも事務職員とも異なる、第三の職」という説明がされてきたのは近年、多くの大学の研究現場で浸透してきたリサーチアドミニストレーター(URA)です。一方で産学連携コーディネーター、知財専門家、寄付金集めの人材も各大学で生まれ、それぞれ大半が任期制で活動しています。新潟大学ではURAもその他の専門人材も、一つのRA職に統合。任期制のケースも将来的には定年制に変えていき、腰を落ち着けて大学経営に臨める人材施策を整えるというものです。

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