パナソニック、売上高“10兆円”撤回のなぜ?

「BツーB事業は勝つためのビジネスモデルが構築できていない」(津賀社長)

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津賀社長
 パナソニックは31日、2018年度の売上高10兆円目標を撤回し、利益重視に回帰する方針を示した。津賀一宏社長は「家電、住宅、車載事業は成長軌道に乗りつつあるが、BツーB(企業間)事業は勝つためのビジネスモデルが構築できていない」と反省。BツーB事業でM&A(合併・買収)などの手を打ち始めた食品流通業界向けのように攻略業界・強み商材・地域を早期に見極め、BツーB事業で20年度にも営業利益率10%以上を目指す。

 15年度は中国市場の落ち込みなどで期初の売上高目標8兆円は撤回を余儀なくされ、営業増益は確保するが、売上高予想を7兆5500億円に引き下げた。

 津賀社長は「コードレス電話などはグローバルで高シェアだが、市場縮小が厳しく事業の対応が遅い」と判断。「高成長」「安定成長」「収益改善」の三つに各事業部を区分しそれぞれに最適な戦略を実行する方針だ。

 津賀社長は就任来、プラズマテレビ撤退などの改革断行で赤字を止血。車載や住宅事業では将来成長に向けた仕込みを進めたが、高収益が見込めるBツーB事業は手探り。

 高収益事業に育てた航空機関連事業のような稼ぎ頭を作ることが、利益増を伴う売上高成長企業への変革のカギとなる。

≪会見要旨≫
津賀社長の会見要旨は次の通り。
 ―高成長事業、収益改善事業への具体的な投資方針は。
 「全体で5%以上の営業利益率を目指していたが、将来、成長が厳しいと判断したICT系、デジタルAV系を収益改善事業とする。1兆円の戦略投資は通常設備投資の枠を超えた投資。住宅や車載、BツーBなどにリソースを集中させる」

 ―収益改善のための事業売却、人員削減はあるのでしょうか。
 「収益改善方法について事業売却が適切と判断した場合、選択肢になる。だが大きな構造改革、人員削減は終えたと認識している」

 ―18年度売上高10兆円目標をこのタイミングで撤回する理由は。
 「10兆円目標は全社の成長加速のために掲げた。課題も明確になっており、改める部分は改め、各事業の成長戦略は維持する」

日刊工業新聞2016年4月1日3面

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

最初に10兆円を掲げた時、各事業から緻密に積み上げたものではなく経営戦略部門がざっくり作った数字で、撤回と大騒ぎするほどではない。事業進捗の現実をみながら軌道修正したものだ。津賀さんはとにかくBツーBが大好き。対外的にもそれを強調し過ぎるため、昨年あたりから「BツーCも頑張ります」というメッセージを打ち出してきたが、実際はコンシューマ系は厳しいということだろう。これで津賀さんがさらにBツーBにアクセルを踏む可能性が高い。事業部門に目が行きがちだが、社長就任時にかかげた本社部門の改革があまり進んでいるように見えないのが気がかり。パナソニックは伝統的に「人事」「経理」「経営戦略」の3部門の力が強い。特に人事改革は停滞しているのではないか。今年で就任丸4年。6年間務めて交代するのが既定路線で、津賀さんもその覚悟でやっているはず。あと2年間で津賀ビジョンをより実行に移して欲しい。

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