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分析感度100倍向上…東北大など、2100℃の昇温脱離法開発

分析感度100倍向上…東北大など、2100℃の昇温脱離法開発

高温TPD法のイメージ(東北大提供)

東北大学の吉井丈晴助教と西原洋知教授らはカナダ・ブリティッシュコロンビア大学と共同で、2100度Cまで上がる昇温脱離法(TPD)を開発した。白金触媒の代替材になり得る窒素添加カーボン材料を精密に測定できた。元素の含有量や化学状態を特定でき、分析感度は100倍向上した。燃料電池電極の開発などに提案していく。

昇温脱離法では試料を加熱し気体として脱離した分子を分析し、試料の元素構成や化学状態を推定する。2100度Cまで昇温できると最も安定なグラファイト型窒素が窒素分子として脱離する。窒素添加カーボンにはグラファイト型やピリジン型などの形で窒素が存在しており、これらが触媒として働く。実験では代表的な3種の窒素含有量を10ppm(ppmは100万分の1)レベルで決定できた。従来法は1000ppmのため100倍感度が向上した。

分析装置は高温でも測定結果がノイズで荒れないよう設計した。高温でるつぼが分解するのを防ぐため、安定なグラファイトで作製する。それでも発生するノイズから分析対象のピークを抜き出し、化学種に対応させるアルゴリズムを開発した。今後、酸素や硫黄などを分析対象に広げる。触媒や黒鉛電極製造などの不純物分析に提案する。感度が向上するほど不具合の発生メカニズムが解明しやすくなる。

日刊工業新聞 2024年5月16日

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