3メガバンクの前3月期…当期益合計3兆円超、発足以来で最高益になった理由
3メガバンクが15日発表した2024年3月期連結決算は、当期利益合計が3兆1325億円となった。3メガバンク合計で発足以来の最高益で、初の3兆円台となる。国内の金利の上昇などから調達金利と貸出金利の差である利ざやが改善し、業績の押し上げに寄与している。円安や株高も業績の後押しとなった。
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は連結の業務純益で前期比22・2%増の1兆5602億円、当期利益で同19・5%増の9629億円で、ともに過去最高となった。SMBC日興証券の業績回復や三井住友カードが好調が寄与した。中島達社長は好調の要因について「円安や株高が進み、事業環境が非常に良かった。企業の資金需要の強い」と語った。貸出金残高は同7%増の101兆円となった。
みずほFGは上場投資信託(ETF)関係損益含む連結業務純益が同24・6%増の1兆58億円となり、過去最高益を達成した。ソリューションや投資銀行等のビジネスの進展に加え、市場の追い風もあり、顧客・市場部門ともに好調に推移した。木原正裕社長は「業務純益は前期から2000億円プラスとなり、実力がついている」と手応えを示した。
三菱UFJ(MU)FGは24年3月期の業務純益が同15・7%増の1兆8437億円となり、過去最高となった。当期利益は同33・5%増の1兆4907億円で、目標値の1兆円3000億円を上回った。亀沢宏規社長は「力強い数字で、構造改革が実を結んだ」と評価した。
日銀がマイナス金利を解除した影響も追い風となっている。SMFGはマイナス金利解除により400億円の増益効果がある。追加利上げの場合は0・1%の引き上げで400億円の増益効果を試算する。MUFGは0・15%の引き上げで500億円以上の上振れを見込む。
先行きの計画も各社は意欲的な数字を示している。みずほFGは25年3月期に業務純益1兆700億円、当期利益7500億円を計画し、中計最終の25年度の目標を前倒しで達成する計画だ。「資産運用・形成、日本企業の成長支援、法人向けのグローバルビジネスを伸ばしていく」(木原社長)という。
SMFGは24年度に当期純利益1兆600億円と同社初の1兆円超えを目指す。「アジアや(資本提携する)米証券ジェフリーズのビジネスの拡大が見込まれる」(中島達社長)。
MUFGは24年―26年度の中期経営計画を策定し、26年度の営業純益は23年度比30%増の2兆1000億円を目指す。タイやインドネシアなどアジア地域でのビジネスを中心に伸ばす。26年度は株主資本利益率9%程度(23年度8・5%)を目標とする。
【関連記事】 三井住友FGの知られざる稼ぎ頭