世界生産200万台規模へ…全車種受注を再開したダイハツ、社長が示した意欲
ダイハツ工業の井上雅宏社長は23日、全車種の受注を再開したと明らかにした。受注は、2023年12月に認証試験不正で国土交通省から全車種の出荷停止処分を受ける前の約70%に回復する見通し。親会社のトヨタ自動車から協力も得て認証対応体制を改め、出荷停止で落ち込んだ国内販売を立て直す。海外でも新興国で小型車販売を伸ばす戦略は変えず、長期的には世界生産200万台規模を目指す。
井上社長は「出荷停止が解除され生産もほぼ全車種で再開したので、新車の受注をすべて再開した」と説明。会員制交流サイト(SNS)やチラシ、店舗イベントから宣伝も始める。受注データの分析を基に、4月下旬にも約70%に回復する見込みを示した。
だが不正や長期の出荷停止でダイハツ車離れも進んだ。凍結していた新型車などの開発も再開したものの、24年度は規模を当初計画の約70%に抑える。世界的なインフレや金利上昇が販売の向かい風となる恐れも指摘した。井上社長は「顧客から信頼を取り戻さないと立ち行かなくなる」と強調。不具合が生じれば立ち止まる開発の改善や、トヨタの力を借りた安全性や排ガス規制などの認証対応力の強化で、不正の再発防止を最優先するとした。
ダイハツは22年度の国内生産が軽自動車を中心に92万台、国内を含む世界生産が178万台だった。能力を超えていた開発のあり方を改めるが、軽自動車は国内市場が成熟している。このため新興国で小型車販売を伸ばす経営戦略を維持する。井上社長は「伸びるのは新興国。世界で年間200万台弱(の生産を)求められていたので、今は無理でもいつか戻したい」と意欲を示した。
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日刊工業新聞 2024年4月24日