チューリヒ工科大が参画…JAXA主導の太陽観測プロジェクトとは?
【チューリヒ=飯田真美子】チューリヒ工科大学は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が主導する次期太陽観測衛星「SOLAR―C(ソーラーC)」プロジェクトに参画する。ソーラーCに搭載する太陽が放射する紫外線(UV)と波長の短い極端紫外線(EUV)を測定する装置の開発に携わる。2025年夏にも宇宙機に搭載するフライトモデルを完成させ、JAXAに届ける予定。太陽観測の新たな衛星開発にスイスが貢献する。
ソーラーCは3月に発足したばかりのプロジェクトで、太陽の観測から太陽が地球に及ぼす影響や太陽系・生命の誕生に迫る。28年度にもソーラーCを打ち上げる予定で、現行の太陽観測衛星「ひので」よりも空間分解能が7倍向上するといった高精度での観測を目指す。EUVの観測ができることで、約1万度Cとなる表層部分から100万度Cのコロナ、1000万度Cに達する太陽フレアまで幅広い温度を同時に観測できるようになる。
これまでに日本は太陽観測衛星を使ったプロジェクトを進めており、すでに運用終了した先代の「ようこう」や「ひので」といった衛星の開発や太陽の観測・解析を進めてきた。チューリヒ工科大のルイーズ・ハラ教授は「ひので」プロジェクトの科学観測に長年関わってきた。JAXA相模原キャンパス(相模原市中央区)との共同研究を進める中で、ソーラーCプロジェクトにも協力する。
日刊工業新聞 2024年4月18日