表面粗さは業界初5ナノメートル以下…オーブレーが曲げに耐えるジルコニアセラフィルム開発
Orbray(オーブレー、東京都足立区、並木里也子社長)は、高いフレキシブル性を備えたジルコニアセラミックスフィルムを開発した。表面粗さ(Ra)が業界初となる5ナノメートル(ナノは10億分の1)以下で、厚みは20マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と薄いのが特徴。独自技術によって表面を均等に研くことで、薄厚でも一定の曲げに耐えられる性能を実現した。高温下で使う電子回路やセンサー基板など幅広い分野での利用を想定し、順次技術提案を始める。
オーブレーがジルコニアセラミックスフィルムを手がけるのは初めて。材料の両端を支えながら中央に荷重を加える3点曲げ強度は1200メガパスカル(メガは100万)。耐熱温度は1200度C。工業用宝石の精密加工で培った素材を薄厚に磨く技術を応用し、Ra5ナノメートル以下という表面平滑性と、厚み20マイクロメートルの薄厚を両立。フレキシブル性を付与することに成功した。
ジルコニアセラミックスは耐熱性や耐食性などの特性を備える一方、高強度であるため曲げると割れやすい課題があった。曲げに強いフレキシブル性を持たせることで、ジルコニアセラミックスの用途の幅が大きく広がる。
同社は工業用宝石の加工技術を強みに、精密宝石部品や光通信部品、小型モーター、医療機器などを製造・販売する。2023年12月期の連結売上高は244億円。近年は車載用ダイヤモンド半導体基板などの研究開発も進めている。
日刊工業新聞 2024年04月16日