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静電容量2倍以上…TDKが自動車用MLCCで新製品

静電容量2倍以上…TDKが自動車用MLCCで新製品

静電容量を業界最大に高めたTDKのMLCC

基板小型化にも対応

TDKは26日、自動車向けの積層セラミックコンデンサー(MLCC)「CGA」シリーズに新製品を追加したと発表した。電動車(xEV)用MLCCで現在主流の大きさの2タイプについて、ためられる電気の容量(静電容量)を従来の約2倍以上と「業界最大」(TDK)に高めた。部品数の削減や基板サイズの小型化につながる点を訴求し、xEVのDC―DCコンバーター(直流電圧変換器)向けなどの需要を取り込む。本荘工場西サイト(秋田県由利本荘市)で月200万個で生産を始めた。

新製品のうち、大きさが2ミリ×1・25ミリ×1・25ミリメートルの「2012サイズ」は静電容量を従来の1マイクロファラッド(マイクロは100万分の1)から2・2マイクロファラッドに、3・2ミリ×1・6ミリ×1・6ミリメートルの「3216サイズ」も同2・2マイクロファラッドから4・7マイクロファラッドに高めた。定格電圧(安全に使用できる基準となる電圧)は両サイズとも100ボルト。車載用受動部品の品質規格「AEC―Q200」に準拠する。

静電容量4・7マイクロファラッドの従来品から置き換えた場合、実装面積を約4割削減できる。基板設計の自由度が高まるほか、基板サイズの小型化も図れる。

MLCCはチタン酸バリウム製の誘電体とニッケル製の電極を薄く積層してつくる。静電容量を高めるには、ニッケル電極間の距離を小さくし、積層数も増やす必要がある。新製品は電極間の距離を従来品より2―3割縮める一方、積層数を同2―3割増やした。

一般にMLCCの静電容量が高まると誘電体が壊れるなどしてショートのリスクが増すとされる。TDKでは耐電圧性が高まるように焼き方を工夫した粒径の細かいチタン酸バリウムを使用したり、設計に配慮したりして製品化につなげた。


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日刊工業新聞 2024年03月27日

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