ニュースイッチ

トラック販売4年ぶり増加も、コロナ禍前の7割程度の水準にとどまる複雑な背景

トラック業界関係者がまとめた2023年度の普通トラック(積載量4トン以上の大型と中型トラック)の販売台数は、前年度比22・9%増の6万7621台となり、4年ぶりにプラスに転じた。コロナ禍や半導体などの部品不足の影響を受けた状態から回復した。一方、日野自動車で認証を取り消されたままの一部の大型・中型エンジンの影響や、架装メーカーの生産能力不足による納期長期化といった課題もあり、販売台数はコロナ禍前の7割程度の水準にとどまっている。

3月と23年度の普通トラック販売状況

ブランド別ではUDトラックスを除く3社が前年度の実績を上回った。いすゞ自動車は前年度比25・0%増の2万7452台で2年連続でシェア首位となった。日野自は一部の車種の出荷再開により徐々に販売台数を伸ばし、同28・2%増の1万5245台。一方、UDは同2・3%減の9838台だった。

23年度の国内全体の販売台数は前年度比プラスに転じたが、コロナ禍前の19年度まで4年連続9万台を維持していたころの水準には届かなかった。業界関係者は「需要が落ちているのではなく、生産側の理由で登録台数増加に結び付けられていない」と分析する。

22年度まで顕著だった部品不足は23年度に改善。一方で「トラックメーカーが通常の生産体制に戻しても、架装メーカー側で人手が足りず作れない。過去の生産制約で元々受注残を抱えており、それを消化しないと次が作れない」と三菱ふそうトラック・バスの林春樹副社長は複雑な状況を説明する。

また、認証不正の影響が出るまで国内シェア首位だった日野自が、一部のエンジンで認証を再取得できていない点も市場に影響を与えている。

24年度については、先に認証を再取得し出荷を再開した日野自の大型トラックの販売が通年で寄与する見通し。中型トラックについても「23年度に新型モデルへの切り替えに伴い生産が減少したが、その影響がなくなる」(日野自)ことなどから、普通トラックの販売台数は「23年度を超えるのではないか」(業界関係者)との見方が出ている。

日刊工業新聞 2024年4月10日

編集部のおすすめ