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トヨタ自動車が中国・清華大学との共同研究を継続する狙い

トヨタ自動車が中国・清華大学との共同研究を継続する狙い

第2期の共同研究の調印式に臨むトヨタの上田達郎執行役員中国本部本部長(前列右)と中嶋裕樹副社長(後列右)

トヨタ自動車と中国・清華大学(北京市)との共同研究が新たな段階に入る。2019年から5年間取り組んできた共同研究について、29年まで継続することで合意した。今後の研究では自動運転や人工知能(AI)、水素エネルギーなどの分野で連携を強化。産学連携を加速させ、環境問題をはじめとした社会課題の解決や人材の育成につなげる。(名古屋・川口拓洋)

トヨタは国内外でさまざまな大学との産学連携を進めている。清華大との連携は中国においては最大規模という。

トヨタと清華大は3月に第2期(24―29年)の共同研究に調印した。これまでの第1期の共同研究は19年4月の「連合研究院」設立を機にスタート。カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)や燃料電池、スマートヘルスなどの分野の共同研究に取り組んできた。成果の一端は22年の北京冬季五輪などで展示した。

連合研究院の設立以前も両者は協力関係にあり、古くは1997年の安全・環境分野での協力にさかのぼる。05年から政策研究や学術交流、人材育成にも力を入れ、06年には環境・材料・エネルギー分野の共同研究を開始した。18年に自動運転やAIの研究に乗り出し、19年には水素エネルギーや燃料電池に関する研究センターも設立している。

トヨタは清華大との共同研究を通じて新しい視点を創出し、次の時代に即した発明につなげる狙いがある。特に中国は電気自動車(EV)の普及が拡大。ソフトウエアを更新することで車の価値を高めていく「ソフトウエア定義車両(SDV)」や、ネットワーク経由でソフトを更新する技術「オーバー・ジ・エア(OTA)」で車の機能を拡充するといった試みも加速している。

トヨタでは現地の研究開発体制を増強するなどしてこうした技術革新に対応している。地域に根を張る大学との連携も地域ニーズに即した新たなシーズ(種)を獲得する機会につながりそうだ。


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日刊工業新聞 2024年04月08日

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