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次世代燃料市場でシェア拡大…「アンモニア燃料の舶用エンジン」、日立造船が受注目指す

次世代燃料市場でシェア拡大…「アンモニア燃料の舶用エンジン」、日立造船が受注目指す

有明工場内で製造する舶用エンジン

日立造船はアンモニアを燃料に使う舶用エンジンについて、2028年ごろの1号機受注を目指し有明工場(熊本県長洲町)に試運転設備などを整備する。投資額は数十億円とみられる。同社は液化天然ガス(LNG)やメタノールなど次世代燃料対応のエンジンで33年度に年50台の生産を見込むが、このうちアンモニア向けで年30台を計画する。成長が期待されるアンモニア焚(だ)きエンジン市場でシェア拡大を狙う。

アンモニア焚きの二元燃料エンジンの試運転設備は燃料タンクやアンモニア燃料供給システム(AFSS)、アンモニアの毒性を除害する装置などで構成する。アンモニアなど次世代燃料はエンジンを開発する際や完成した際の試運転の対応が不可欠で、今後整備を進める。市場の立ち上がりを見極めながら、同設備では28年に実験機による実証運転を、30年から商用エンジンを試運転する製造運転の開始を目指す。

まずは既存のエンジン実証実験設備をアンモニア燃料対応に改造する。将来は毒性が強いアンモニアの安全性などを考慮し、専用の生産建屋の新設や、同時試運転設備の増設なども検討する。

販売面では舶用エンジンと排ガス後処理設備のパッケージ展開を見据える。同設備は同社が得意とする触媒技術を用いて窒素酸化物(NOx)除去、未燃アンモニア除去、亜酸化窒素(N2O)除去装置を組み合わせる。

次世代燃料のうち、LNGとメタノールは約14億円を投じて試運転関連設備などを増強・新設する計画を公表した。すでにLNGは2台受注し、夏以降に組み立て、製造運転を開始する。一方メタノールはテストエンジンを1台受注。秋ごろに実証運転を行い、26年にも製造運転を目指す。

国際海事機関(IMO)は50年ごろまでに国際海運からのカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)の達成を掲げる。日立造船がライセンスを受ける独MAN-ESでも、28年以降にアンモニア対応エンジンへの需要が急速に伸び、33年には全体の発注量の約3分の1を占めると予想する。

日刊工業新聞 2024年03月28日

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