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戦闘機輸出、協定締結国15カ国に…政府が防衛装備移転3原則の運用指針改定

次期戦闘機の第三国輸出問題が自民、公明両党で合意したことを受け、政府は3月下旬をめどに防衛装備移転3原則の運用指針を改定する。国際共同開発による完成品を第三国に輸出する場合、個別プロジェクトごとに閣議決定すると定め、輸出先は国連憲章に適合する使用を義務付けた協定締結国15カ国に限定する。今回、輸出を認めるのは次期戦闘機に限る。英国、イタリアとの共同開発で2030年代半ばの配備を目指す戦闘機開発がようやく間に合ったが、今後、装備品の輸出拡大につなげるためには課題も残る。

第三国への輸出は、輸出して機数を増やすことで量産効果などでコストを下げ、開発国の負担軽減と戦闘機の価格低下につなげるためだ。戦闘機開発には兆円単位の費用がかかるとされ、負担を減らすための国際共同開発は今や世界の潮流となっている。ただ公明党は戦闘機の輸出が日本が戦争に巻き込まれる可能性増大につながるとして、容認に難色を示してきた。

日本抜きで開発が進んだ場合、日本が求める無人機との連携によるネットワーク戦闘能力やステルス性の優先順位が下がる恐れがあった。日本企業が関わる開発範囲もおのずから限定される。また、次期戦闘機に限らず、国際共同開発の時に閣議決定が都度必要となれば、海外は日本を敬遠し、別の国との開発を選ぶ可能性が強まる。

次期戦闘機に限るとはいえ、今回、第三国への輸出が認められることは大きな一歩だ。ただ、同様の課題はこの先、他の装備品共同開発でも繰り返される可能性がある。与党間の普段からの意識調整が求められる。

日刊工業新聞 2024年03月19日

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