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LED電灯レンタルの破産劇、債務者集会で明かされた衝撃の内容

LED電灯レンタルの破産劇、債務者集会で明かされた衝撃の内容

※イメージ

架空販売発覚、事業に光灯せず

LED電灯レンタル事業を手がけていたヒカリレンタは、2023年3月に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。同社は12年に設立され、関係会社のヒカリレンタ首都圏とともに事業を展開。そのスキームは、同社がLED電灯を集め、オーナーに販売。購入と同時にオーナーはレンタ首都圏と賃貸借契約を結び、レンタ首都圏はユーザーにレンタルすることで収益を出し、オーナーに還元するという流れとなっており、22年3月には年間売上高約33億5600万円を計上していた。

しかし、この間も資金繰りは悪化していたようだ。実は、16年ごろよりLEDの価格が急落。20年以降さらに下落し、レンタルの利点が乏しくなっていた。また、ユーザーの需要と連動しない形でLED販売を行っていたため、レンタ首都圏においてオーナーへの賃料債務を転貸料収入で補うことができなくなり、連帯保証をしている同社も債務が増大していった。加えて、在庫の管理費用や人件費が増加したこともあり、資金繰りが悪化。23年1月にはレンタ首都圏が支払い不能となったことで、連帯保証をするヒカリレンタも同じく支払い不能となり破綻した。

破産手続き開始決定後、債権者集会が開催されたが、説明された内容は上記をはるかに超える衝撃だった。レンタ首都圏がオーナーから賃貸借し保有すると思われていたLED188万本のうち、実際にレンタルされていたものは11万本、保管されていたのは4万本だったのだ。つまり、同社はオーナーにLED電灯を販売したように見せかけ、実際には調達すら行わず、架空販売を繰り返し、資金を調達していた。

LED電灯の価格低下というアクシデントがあったものの、何かしらの不正があったことは間違いない。23年の倒産のうち「コンプライアンス違反」による倒産は集計開始以降最多となる342件に達し、24年も不正発覚による大型倒産が発生している。今後、このようなケースが続かないことを祈るばかりだ。(帝国データバンク情報統括部)

日刊工業新聞 2024年03月14日

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