自動運転EVを年内投入、チューリングがカメラ方式で100台販売目指す
チューリング(東京都品川区、山本一成最高経営責任者〈CEO〉)は、2024年内にも部分的に運転を自動化する「自動運転レベル2」の独自機能を搭載した電気自動車(EV)を日本国内で発売する。当初予定の25年から前倒しする。販売台数は50―100台規模の見通しで、24年夏をめどに性能などの詳細を決める予定。将来は完全自動運転「同レベル5」の実車搭載を目指しており、人工知能(AI)関連のエンジニアの増員など開発体制も強化する。
チューリングは千葉県柏市に車両生産工場を持つ。30年に累計1万台の完全自動運転のEV生産を目指している。目標実現に向け、まず少量のEVを生産・販売し、車両製造のノウハウを蓄積する。
同社はカメラ映像とAIを活用した「カメラ方式」による完全自動運転を目指している。同方式では、人が視覚情報などを基に周囲の状況を判断し運転する一連の動作を、カメラ映像の認識とAIに担わせる。同社は大量の言語データを学習し構成するAIモデルである大規模言語モデル(LLM)に着目。完全自動運転の実現に向けてLLMを含む「マルチモーダルAIモデル」の開発を進めている。同AIモデルを車両内で動かす際に必要な処理能力を備える自社製半導体チップの開発にも着手した。
同AIモデルの開発については、経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業者に採択された。同社は24年1月に本社を千葉県柏市から東京都品川区に移転・増床しており、研究開発人材の採用を強化する構えだ。
23年の日本の新車販売台数のうちEVは2・2%と普及途上にあるが、田中大介取締役最高執行責任者(COO)は「少なくとも20―30%までいくのではないか」と指摘。国内のEV市場の増加傾向が続いている時期に「スタートラインに立てている」(田中取締役COO)と自社の優位性について説明する。