エッジAIアクセラレーター開発、ラピダスが一手
カナダ新興と連携
最先端半導体の量産を目指すラピダス(東京都千代田区、小池淳義社長)は27日、人工知能(AI)向け半導体の設計を手がけるカナダ新興のテンストレントと、端末にAIを組み込んだエッジAIに必要なデータを高速処理する専用半導体(アクセラレーター)を開発・製造すると発表した。2027年の量産開始を目指すラピダスの北海道千歳市の新工場での製造を想定。生成AIの利用で増大する消費電力の削減につなげる。
同日、都内で会見した小池社長は、「さまざまなエッジAIに対応するためには、半導体の専用チップ化が重要。当社は製造手法の効率化などで納期を短縮し、専用チップ化の要請にも迅速に対応できる」と強調した。テンストレントのジム・ケラー最高経営責任者(CEO)も「ラピダスはスピードを重視している。協業により日本で優位なビジネスを構築する機会を得られる」と期待を述べ、「ラピダスの準備ができた段階でできるだけ迅速に(製造を)始めたい」とした。
機器の端末に直接搭載されるエッジAIは端末側でデータ処理を完結させることが可能で、従来の生成AIで課題だった消費電力の増大を抑えられる。車の自動運転やロボットなどで今後の需要拡大が期待できる。
ラピダスなどが参画する技術研究組合「最先端半導体技術センター(LSTC)」は9日、経済産業省から最大450億円の支援を得ることが決まっており、今回の協業はその枠組みの中で実施する。
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日刊工業新聞 2024年02月28日