オフィス好調、物流落ち着き、マンション鈍化…2016年不動産動向

大手各社の業績好調

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東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の空室率と平均賃料の推移
 2016年の不動産市場はまだら模様の景気となりそうだ。オフィスビル市場は好調が続く。企業の設備投資は堅調に推移しており、業務拡大に伴うオフィスの移転・拡張の動きから東京都心部を中心に空室率の低下と賃料上昇のトレンドが継続している。物流施設への投資は継続しているが大量供給によって需給が緩み、落ち着きムードも漂ってきた。マンション市場は実需層向けが厳しくなる一方、富裕層向けは今後も伸びそうだ。

オフィス好調続く


 三鬼商事(東京都中央区)がまとめた東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)のオフィスビル市況調査によると、2月時点の平均空室率は前月比0・03ポイント増の4・04%となった。10カ月ぶりに上昇したとはいえ、依然として低い水準にとどまっており、8年ぶりに4%を下回る可能性も濃厚だ。1坪(約3・3平方メートル)当たりの平均賃料は同0・64%増の1万7904円で25カ月連続で上昇した。

 大手不動産各社の業績も好調だ。4―12月期連結決算は三井不動産、三菱地所、住友不動産が過去最高益を更新した。
 三井不動産の首都圏オフィス(単体)の空室率は12月末時点で3・4%となり、9月末に比べて0・4ポイント低下した。期末には3%を切る見通しで、期初想定通りの低い水準で推移している。三菱地所はビル事業の12月末の月額平均賃料が9月末に比べて779円増加し、2万5094円となった。期末の見通しは2万5000円と11月時点の予想に500円上乗せした。住友不動産も既存ビルの空室率は満室状態に近く、賃料増額を着実に進めている。

 今後もオフィスビル市況は堅調な推移が続きそうだ。森ビルがまとめたオフィスマーケットに関する調査によると、16年の東京23区内のオフィスビル供給量は前年比約4%減の107万平方メートルとなる見通し。17年はさらに供給が減る。18年から19年にかけての供給増を経て20年以後の“ポスト東京オリンピック・パラリンピック”に市場の関心は移りつつある。

物流施設供給が増大


 国土交通省の建築着工統計調査報告によると15年の「倉庫」の着工床面積は5年連続で増加した。オフィス市況に比べると物流施設の市場は供給量の増大により需給が緩和している。

 米系事業用不動産サービス大手のシービーアールイー(CBRE)の調査によると、15年第4四半期(10-12月)は首都圏の大型マルチテナント型物流施設の新規供給が約15万坪あった。四半期ベースでは同社が調査を開始して以来過去最高の数字で、15年通年でも29万坪超と過去最高になったという。空室率は前期比3・4ポイント上昇し6・9%となった。

 16年は首都圏全体で36万坪超の供給が予定されており、さらに需給が緩和する中で賃料の低下も予想される。

ホテルへの投資急増


 また、CBREによると、15年の収益不動産の取引額は前年比27・9%減の3兆5560億円となったが、こうした中で増えているのがホテルへの投資で同50%増の3760億円と急激に増えた。訪日外国人観光客の増加を背景に有望な投資先と位置づけられているようだ。とはいえ、物件が限られているため過熱しやすいことも事実。物件の供給が増えるには、東京五輪後も継続的に外国人観光客が増えるかどうかにかかっているが、まだ見極めにくいようだ。

マンション価格高止まり続く


 マンションは売れ行きが鈍化する中で供給を絞る動きが顕著だ。不動産経済研究所によると15年の全国マンション供給戸数は前年比6・1%減の7万8089戸と2年連続で減少した。価格上昇に実需層が追従できなくなっていると見られている。1戸当たりの平均価格は同7・2%増の4618万円で1973年の調査開始以来の高値となった。職人不足による人件費や資材費の上昇が平均価格を押し上げている。

 工事費や資材費の高騰によるマンション価格の高止まりは今後も続くとみられる。17年4月に予定される消費再増税も実施に不透明感が出ており、様子見ムードがさらに高まる可能性がある。

日刊工業新聞2016年3月23日 特集面

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

「ポスト五輪」を見据えて、オフィスビル、マンションともに供給は絞られていく傾向にあるようです。長期的に見ると人口減少も不動産動向に影響してくるように思われます。

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