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シャッター・ドア業界を牽引する企業 —建材で防災・環境負荷軽減に貢献

理工系×企業ジョブマッチング/三和シヤッター工業
記者の目/ここに注目
□業界最先端の領域で若手が活躍
□チームで開発 フォローし合える体制を確保

省エネやCO2の削減につながる商品を開発

三和シヤッター工業は、シャッターやスチールドアにおいて国内トップシェアを誇る総合建材メーカー。三和ホールディングスの国内における主力事業会社で、グループとしては、国内に加え、北米、欧州、アジアで事業を展開している。2030年までの長期ビジョンに「高機能開口部のグローバルリーダーへ」と掲げる通り、国内外問わず、強い存在感を放つ建材グループだ。

国内では都市部を中心とした再開発プロジェクトや物流施設、工場などの建設が堅調で、主力の産業用シャッターやスチールドアが順調に売上を伸ばしている。また、近年注目を集めているのが防災・減災に効果を発揮する商品で、激甚化する自然災害に対応するため、耐風圧性能の高い窓シャッター「マドモア耐風ガード」や、防火・防煙・防水の性能を併せ持つ「ウォーターガード 防水シャッター(防火・防煙タイプ)」などを展開。災害時などの不測の事態にも損害を最小限に抑え、事業継続計画(BCP)が求められる中、さまざまな企業から引き合いが増加している。さらに、2023年には省エネルギーや二酸化炭素(CO2)の削減に貢献する高断熱商品「Re-carbo(リカーボ)シリーズ」を展開。断熱性能を向上させたパネル式のシャッター「高断熱オーバースライダー」や高速開閉が可能なシート式シャッター「断熱クイックセーバーTR」をラインアップした。環境に配慮した商品として注目される。

“動く建材の商品開発”

電装開発部 電装システム課 課長 大塚 啓成(ひろなり)さん

同社の電装開発部は“動く建材の商品開発”について中核を担う。かつては手動開閉が主流だったシャッターは、現在ではどなたでも簡単に操作できる電動タイプの人気が高い。電装開発部の中でも電装システム課では、そのような電動シャッターの事故を未然に防ぐ機構に加え、そのほか、さまざまな新商品の開発や改良に取り組んでいる。1人で複数テーマを受け持つが、1テーマに少なくとも2人以上のメンバーが関与し、複数人で確認し合うことでミスの発生を抑えている。また、メンバーが体調を崩すなど不測の事態が発生した際にも、メンバー間でフォローし合える体制を敷いている。同課の大塚啓成課長は、「商品開発や改良のテーマを決める際には、新たに挑戦するテーマを1つ以上設定させる」と話す。そうすることにより、経験を積むだけでなく、個人としての成長のチャンスもつかむことができる。

近年、同社が力を入れているのが、モノのインターネット(IoT)化だ。住宅内のテレビやエアコン、照明やシャッターなどをインターネットでつなぎ、スマートフォンやスマートスピーカーを通じて制御する。シャッターの開閉だけでなく他の通信機との連動も必要になるため、「これまでにない知識と検証方法が必要」(同)という。

電装システム課には若手社員が集まっており、「積極的に新しい技術を取り込む風土がある」(同)という。業界トップをひた走る同社の中でも最先端の領域で、商品開発に携わる。

また同社では、新卒入社の場合、「人材育成プラン」に基づく実務研修が行われる。同課に配属される場合は、研修中に製造と設計、そして施工部門を経験し、シャッターなどの構造や製造工程全般に関する知識やスキルを習得する。中途入社の場合は先輩社員がサポートに付くことで、さまざまな商品や会社全体に関する知識を身につける。大塚課長は共に働くメンバーに、「何かに熱中し、継続して取り組んだ経験がほしい」と話す。趣味や部活、アルバイトなど、何かに継続して取り組んだ人には集中力がある。学校で学ぶ基礎知識は大切だが、入社後にたくさんのことを学び、いろんなことを吸収しようと意欲を持って取り組める人材を求めている。

IoT化が進んでいる商品
しっかりとコミュニケーションをとりながら仕事を進めていく

理系出身の若手社員に聞く

商品の完成まで見届けられる

電装開発部 電装システム課
岡田 員摩(かずま)さん (2022年入社)

電動窓シャッターや IoTに関するさまざまなテーマの開発に携わっています。前職ではファクトリーオートメーションの電気制御の設計などに携わっていましたが、システムの一部ではなく、1つの商品の完成まで見届けられる開発をしたいと思い、三和シヤッター工業に転職しました。入社すると、想像以上にシャッター全体に関する知識が必要で驚きました。

電装システム課はIoTに関して当社の中で最も進んだ取組みをしています。今後、この知識、経験を活かしてリーダーシップを発揮していけるようになりたいです。

会社DATA
所在地  東京都板橋区新河岸2-3-5
設立   1956年(持株会社化により2007年設立)
代表者  代表取締役社長 高山 盟司
資本金  5億円
従業員数 3057人(2023年3月)
事業内容 各種シャッター、ドア、オーバーヘッドドア、住宅用窓シャッター、間仕切、
     エクステリア、ステンレス商品などの製造および販売、施工、メンテナンス
URL   https://www.sanwa-ss.co.jp/

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