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農工大・電通大・東京外国語大が連携、“食とエネ”資源循環で社会実装を加速

農工大・電通大・東京外国語大が連携、“食とエネ”資源循環で社会実装を加速

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ソーラーシェアなど活用 先進技術、国内外で社会実装

東京農工大学は電気通信大学、東京外国語大学と、食とエネルギーの資源循環の先進技術を国内外で社会実装する枠組みを確立する。農作物栽培と太陽光発電を併用するソーラーシェアリングや、持続可能な航空燃料(SAF)に向けたバイオマス生産などをテーマとし、東京農工大のベンチャーファンドや設立準備中のコンサルティング会社「Dejima」を活用。同大は10年後に1件当たりの共同研究費を700万円と現在の倍以上、スタートアップ(SU)創出数を年12件と同4倍にする。

これら西東京の3大学は10年以上前から文理融合のサステナビリティー(持続可能性)の博士教育に取り組み、研究センターも立ち上げた。

このほど文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」(J―PEAKS)に採択された。農学系の食料、工学系のエネルギー、人文・社会科学系の地域研究などを生かして社会実装する。

農地の一部に太陽光発電パネルを置くソーラーシェアリングを導入する。水やりや施肥を人工知能(AI)やITで制御するスマート農業やスマートグリッドには、東京農工大に加え電通大の技術も活用。途上国など現地の事情に合わせるため東京外大の知見も生かす。

畜産を絡めた大都市近郊型の資源循環農業も手がける。また東京農工大が豪州のクイーンズランド大学と協働で進めているSAFの原料生産、ジェット燃料化、プラント建設などもテーマとする。

東京農工大は2023年、国立大学が民間ベンチャーキャピタル(VC)と連携する初の認定ファンドを組成。このファンドは他の国立大発SUにも出資できる特徴がある。24年度中に事業子会社を立ち上げ、単年度会計などの制約がある国立大より機動的な体制にする。

J―PEAKS関連の施設整備も進める。東京農工大は食・健康のSUを後押ししたり圃場(ほじょう)で共同研究したりする拠点を建設する。延べ床面積は約3200平方メートル。電通大は太陽光発電を組み合わせた農業や分散エネルギーの研究のため、同約1600平方メートルの施設を整える。

日刊工業新聞 2024年01月17日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
東京西部の多摩地区にある東京農工大、電通大、東京外大が本格的につながったのは10数年前のこと。サステイナビリティーの切り口により、先に実績を出し始めたのが博士教育だ。次が今回のJ-PEAKS、食とエネルギーの研究と経営の改革の事業と位置づけられる。都内の農作物生産は多くが多摩地区に集中しており、都市型農業を考える上でぴったり。豪州大学にも展開する国際性を含め、強みをフルに活用した事例といえそうだ。

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