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全固体電池の検査体制拡充、グローバル・テックが90億円投資

全固体電池の検査体制拡充、グローバル・テックが90億円投資

グローバル・テックの電気特性試験装置

グローバル・テック(大阪市北区、大塚和志社長)は、全固体・高容量電池の検査体制を拡充する。電池の特性評価試験を行う約110平方メートルの「先端電池評価エリア」を、兵庫県加東市のバッテリーサポートセンター内に新設した。車載向けを中心に、電池の最小構成単位であるセルの電流特性や耐久性を調べる。同エリアのある建屋の整備費用などを含めた、検査体制の強化に対する総投資額は約90億円の見込み。

グローバル・テックは2022年に約2万6400平方メートルの用地と3棟の建屋を購入し、バッテリーサポートセンターを開設した。このうち1棟に、電池が発火した際に発生する有毒ガスに備えて排気装置を導入した、防爆仕様の評価試験エリアを設けた。

設備投資に加え受託検査の人員も増強する。福利厚生の充実を訴求して採用を進め、今後1年で従業員を現在の1・5倍から2倍に拡充する計画。

グローバル・テックはリチウムイオン電池(LiB)の受託検査や検査設備のカスタムを手がける。国内の電気自動車(EV)・車載電池メーカーと取引実績がある。

一定の条件下で充放電を繰り返し、電池がどの程度劣化するか耐久性を調べる試験などを受託する。クギを貫通させ発火や破裂を調べる安全性試験も行う。23年にはドイツに法人を設立し、欧州の車載電池市場の調査を始めた。

富士経済(東京都中央区)によると、全固体電池の世界市場は22年時点で60億円の見込み。40年には3兆8605億円まで膨らむ試算だ。酸化物・硫化物系を中心にLiBの置き換えが進む見通し。


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日刊工業新聞 2024年01月26日

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