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サブナノ厚の半導体 “単離”、東大が溶媒内超音波処理で実現した意義

サブナノ厚の半導体 “単離”、東大が溶媒内超音波処理で実現した意義

※イメージ

東京大学の桐谷乃輔准教授らの研究チームは、厚さサブナノメートル(ナノは10億分の1、サブナノは1ナノメートル未満)の2次元(2D)半導体を単離する手法を開発した。1分間と短い溶媒内超音波処理により、基板上に転写された半導体単層を選択的に孤立させる。従来難しかった多数の電極を持つ単層デバイスを効率良く作製できるほか、2D半導体物性の開拓にも役立つと期待される。

本研究で提案した超音波手法

研究チームはランダムに基板上へ剥離された2D半導体を短時間で選別できる提案手法を使い、二硫化モリブデンをはじめとする「遷移金属カルコゲナイド」の結晶に対し、基板上に単離できることを示した。

さらに、単層と同時に基板上に転写されてしまう99%の不要なバルク結晶群を除去するメカニズムも解明。その上で単離した単層を用い、実際に多数の複雑な電極を持つデバイスを作製した。

2D半導体はわずか3原子で形成された約0・7ナノメートル厚の単層であっても半導体としての挙動を示す。接着テープに貼り付けた2D半導体結晶に対して剥離を繰り返して薄くした後、基板上へと転写する簡単な方法により、良質な結晶性の極薄膜が得られる。

一方で、デバイス設計に向けて、多量のバルク結晶を選択的に除去しつつ、単層だけを基板上へ残す単離手法が求められていた。


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日刊工業新聞 2024年01月16日

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