ニュースイッチ

JR西日本が自動改札データの活用拡大、地方・他社にも提供

JR西日本が自動改札データの活用拡大、地方・他社にも提供

自動改札機の入出場データを活用した列車の乗車人数や混雑状況推定システムの例

JR西日本は駅の自動改札機データの利用範囲を拡大する。乗客の改札機の入出場記録と列車ダイヤから乗車列車を高精度に推定し混雑状況を把握するシステムを、列車の運行計画や駅の設備計画、駅のマーケティングなどで活用している。これを2024年以降、現在の京阪神地区中心の展開からJR西管内各地に順次広げるほか、他社への提供も始める。

JR西日本は主に京阪神地区で、自動改札機のデータから各列車の各駅での乗車人数などを推定、混雑状況を把握している。このデータを基に、列車の運行本数や編成車両数の最適化、運行車両に必要な設備を検討して運行計画に反映させている。

また、列車の混雑率予測はIoT(モノのインターネット)を活用して機器の情報を遠隔で取得し、リアルタイムで可視化している。鉄道車両の台車にある空気バネは車両の高さを一定に保つため、乗車人数に合わせて空気圧を調整する。空気圧データを乗車人数に変換したデータを地上に送信して列車の混雑情報をリアルタイムに取得し、利用者への情報提供に活用している。

ただ各車両にデータ送信機器が必要で、古い車両は改造して設置するため多額の費用と工期がかかる。一方、改札機のデータは自動改札機を設置している駅であれば活用できるため、京阪神地区以外の地方都市の駅などでも展開を拡大する。

自動改札機のデータは車内の混雑状況だけでなく、列車乗り換えなどの流動も推定できる。そのためエスカレーターの数や通路幅をどうするかなどの設備計画や、広告や店舗の出店場所など駅構内でのマーケティングにも用いる。

日刊工業新聞 2023年12月26日

編集部のおすすめ