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ホンダジェット開発に学ぶ「クリエイティブチーム」のつくり方

<情報工場 「読学」のススメ#1>『ホンダジェット』(前間孝則著)

国際分業で開発したMRJとは対照的


 MRJは、2015年11月に初飛行に成功したものの、直後に完成機の納入予定延期を発表した。延期は初めてではない。初飛行も何度も延期になっている。こうした遅れについて、同機の「国際分業」が原因ではないかという指摘もある(ニュースイッチ2015年12月19日付「なぜ旅客機開発は遅れるのか」)。MRJは国産機ではあるものの、エンジンを含む各部品を海外メーカーに発注している。その調整と管理に時間がかかっているというのだ。

 一方ホンダジェットは、エンジンまでも内製化し、開発において専門分化を極力避けている。開発プロセスにおいてMRJとホンダジェットは対照的といえる。もちろん両者は機種や用途が大きく異なるので、単純に比較できないし、どちらの開発プロセスが正しいということではない。ただ、「人数が限られたプロジェクトで、いかに〈革新〉をつくり出し成果を上げるか」という点で、ホンダジェットの成功は格好のモデルケースの一つであることは間違いないだろう。

『ホンダジェット』
前間 孝則著 新潮社
316p 1600円(税別)
ニュースイッチオリジナル
冨岡 桂子
冨岡 桂子 Tomioka Keiko 情報工場
自分の中にある知識と新しい情報が出会って化学反応を起こすことで、新しい発想やひらめきが生まれます。この「読学のススメ」では、ニュースイッチのカテゴリにそって、ビジネスパーソンが、いま読むべき本を取り上げます。読者の皆様に、何か小さな“ひらめき”が生まれるよう、良質な本の情報を面白くご紹介していきたいと思っています。 第一回は、「MRJ・航空・宇宙」のカテゴリで『ホンダ・ジェット』をご紹介しました。アメリカに続き、3月16日にはメキシコでも型式証明(認可)を受けたホンダ・ジェットが今後どのようにビジネスジェット業界の絵を塗り替えていくのか、要注目です。                        

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