琉球大、脂肪由来幹細胞を顔面に移植形成

国際医療拠点化や産業化に向けた一歩

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記者会見で説明する清水雄介形成外科特命教授(中央)
 琉球大学医学部付属病院の清水雄介形成外科特命教授らの研究グループは、培養した脂肪組織由来幹細胞(ADSCs)を使った再生医療の臨床研究を始めた。同幹細胞を顔へ移植する形成外科手術としては国内初の事例という。同大医学部再生医療研究センター、ロート製薬との共同研究。2016年度は脚部への移植など3件を行う。再生医療分野の研究推進により、国際医療拠点化や産業化につなげる。

 今回、がん摘出による顔面のへこみを脂肪と幹細胞の移植で緩和する手術を70代男性に行った。患者の腹部から脂肪組織を摘出し、ADSCsを抽出して培養。摘出した脂肪と混合し、患部に注射して移植した。患者自身の細胞を使うことから拒絶反応が小さく、患部を切開しないため負担が少ないという。

 3月2日に移植手術を行い、5日に退院した。現時点で経過は順調。1年ほど経過を観察し、感染症の発症がなく組織が定着すれば成功という。

 17年度には患者本人以外の培養済みADSCsを使った臨床研究に着手する考え。

【研究チーム記者会見 一問一答】
 ー今後の研究計画は。
 「自家細胞(患者本人の細胞)による移植技術を確立したい。16年度は足の骨を伸ばす手術で残ったピンの跡を目立たなくしたり、乳がんの摘出後に移植したりする予定だ。自家細胞では培養に時間がかかるため、他家細胞(患者本人以外の細胞)を用いた再生医療を17年度にやっていきたい」

 ー大学として将来は心臓や肝臓の再生、血管病変の治療へつなげるということですが。
 「今回の臨床研究自体の延長線上にあるわけではない。しかし、再生医療の基盤ができたことで、今後の特定認定再生医療等委員会の設置などが認められやすくなると期待する」

 ー産業化という面で、医工連携で開発できる可能性は。
 「培養基板はブラッシュアップできる。道具や器具など良いものを作れると思う」

<関連記事>
ロート製薬が琉球大学内に再生医療拠点

日刊工業新聞2016年3月15日科学技術・大学面

COMMENT

三苫能徳
西部支社
記者

琉球大学医学部は、返還後のキャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)に移転する予定で、そこに国際的な医療拠点を構築することを掲げています。沖縄県は重粒子線治療施設の設置調査も行っていますが、琉球大による再生医療も拠点化の柱。今回の記者発表でも、医療ツーリズムや周辺産業振興への発展に向けた一歩との位置づけで話がされていました。

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