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インダストリアル・インターネットの重要要素「フラッシュ・ボーイズ2.0」とは

10億分の1秒単位の超高速ネットワーク、何兆ドルものコスト節減生む

日本はデバイスで先行?三菱電機は海外需要にらむ


日刊工業新聞2015年12月17日付


 三菱電機はインジウムリン(InP)や窒化ガリウム(GaN)といった化合物半導体の光・高周波デバイスの各事業で、高速・大容量化が進むインターネットや携帯電話網の設備需要に的を絞り、新たな成長を目指す。「半導体結晶成長のノウハウやモジュール自動組み立てなどがコア技術」(平野嘉仁高周波光デバイス製作所長)で、国内生産ながら世界市場で高い競争力を維持する。

 光デバイス事業は、光ファイバー網の信号を送受信するInP素子とモジュールを製造して、家庭用光ファイバー通信回線(FTTH)用素子で世界シェアトップの約50%を持つ。ただ、「FTTHは中国で活況だが、国内は需要が一巡した」(平野所長)とする。

 そこで、ここ数年取り組むのは光通信網の中で上位にある毎秒10ギガ(ギガは10億)―100ギガビットの高速・大容量通信を行う幹線系や都市内(メトロ)系の開拓だ。

 特にメトロ系は、携帯電話通信網の進化に伴う基地局間通信や、グーグルやフェイスブックといった米IT企業の巨大データセンター(DC)との通信といった新需要が生まれている。

 これに対して三菱電機は、高容量対応の光デバイス製品の開発に注力。数年内に毎秒100ギガビットの大容量通信に対応し、3・5ワットという低消費電力を実現する光通信用モジュールも市場投入する計画だ。「FTTH向けで培った信頼性や自動組み立てによるコスト力が強み」(同)と新需要の開拓に意欲をみせる。2019年度には光デバイス事業売上高を15年度計画比20%増の300億円超に伸ばす考えだ。

 高速・大容量通信の需要は高周波のGaNデバイス事業でも同様に増えている。GaNトランジスタは高電圧で動作して高出力を出せる。供給された信号を高周波に変換する効率が高く、消費電力が低いのが特徴だ。

 携帯電話基地局で使う信号増幅器ユニットにGaNを採用すれば、従来のシリコン(Si―LDMOS)トランジスタより搭載数が減り、ユニットは約50%小型化できる。小型の増幅器を基地局屋上のアンテナ近くに設置でき信号損失を抑えられ、屋内の基地局本体も小型化できる。

 こうした需要を狙い、15年度内に3・5ギガヘルツなどの高周波数帯に対応したGaNデバイスのラインアップをそろえて発売し、携帯基地局向けの高周波信号増幅器市場に本格参入する。国内の基地局需要のほか、韓国や中国など携帯網が進化する海外の需要も取り込む。高周波デバイス事業の売上高は、20年度に15年度見込み比2倍の200億円に引き上げる計画だ。

 半導体は景気に左右されやすく、大量生産しては価格が落ちるサイクルを繰り返す。三菱電機の光デバイスも、かつてデジタル多用途ディスク(DVD)向けでトップシェアを誇ったが現在、その需要はない。「コア技術を回して、いかに新分野を作るか」(同)が、持続的成長の鍵を握っている。
(文=大阪・錦織承平)
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
日本はアドバンテージを生かしていない。インダストリアル・インターネットのビジネスで誰がリーダーシップを発揮するのか。日立、NTT、ソフトバンク、富士通?ピンのこない。

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