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有名漫画家の書き味再現、東北大などが開発した触覚ペンが面白い

有名漫画家の書き味再現、東北大などが開発した触覚ペンが面白い

開発した触覚ペン

東北大学の和賀正宗大学院生と昆陽雅司准教授らは産業技術総合研究所と共同で、書き味を再現する触覚ペンを開発した。ペンに小型振動子を貼り付けて振動を提示する。タブレット端末の硬く滑らかな面で書いても、紙の柔らかくざらついた面に書いているような質感を提示できるようになる。有名漫画家などの筆感を再現すれば、タッチを学びやすくなると期待される。

ペンの指が触れる部分を中空の梁(はり)構造とし小型振動子を搭載した。梁構造が振動して指に触感を伝える。振幅は0・01ミリメートルと小さいが、700ヘルツまで一定の振動を提示できる。1200ヘルツになると強く提示できる。

ペン先が紙とこすれる振動を計測し、提示すると紙質を再現できる。タブレット端末にスタイラスで書く場合、紙とは書き心地が変わる。振動で質感を表現できるとユーザーが好みの質感を選べる。漫画家やイラストレーターなどの匠の技を記録して提示することも可能。初心者が筆遣いやタッチについて直感的に学べるようになる。

振動子の種類に合わせて振動を人が感じやすい周波数に直す技術も開発した。スマートフォンなどに使われる振動子の提示範囲は100―200ヘルツに限られる。振動数の高い領域は、振動波形の外形を提示可能な周波数で再現する。振動子で提示できない高周波信号も知覚させられる。

触覚ペンの設計に応じて振動子を選びやすくなる。スマホなどの普及済みの機器と触覚ペンで同じ触感を提示できるため、ユーザーは見て学ぶ体験と書きながら学ぶ体験を結びつけやすくなる。

日刊工業新聞 2023年11月09日

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