住宅の施工状態をAI判定、大和ハウスが全国導入
大和ハウス工業は住宅建築現場での施工状態の確認に人工知能(AI)を導入する。同社の工事責任者や施工を務める工務店責任者の事務作業を減らす。7月から東京都と千葉県の現場で先行導入しており、12月に全国に展開する。現在は全200弱の検査項目のうち3項目でAI判定が使用できる。全国で運用してデータを集め、AIモデルを構築し、2024年4月までに段階的に約50項目に検査項目を増やす。
大和ハウスは住宅の施工状態の確認や品質の保証のため、現場の写真を撮影し保存している。しかし、画像をサーバーに送る事務作業が現場責任者の負担になっている他、撮影画角や明るさが統一されていなかったり、作業者の私物のカメラや携帯電話で撮影が行われたりする場合があり、画像の精度や安全上に問題があった。
AIはギアヌーヴ(東京都港区)と共同開発した。大和ハウスが画像データを撮影し、ギアヌーヴがAIモデルを作成する。1現場につき1台のタブレットが設置され、一覧化された検査項目を順番に各項目の指示通りに撮影し、携帯電話規格「LTE」通信でサーバーに送る。画像の画角や明るさ、撮影箇所が基準を満たしているかどうか、規定通りの施工がなされているかなどを即時AIが判定する。AI判定を使わない項目においても、同様にタブレットで撮影しサーバーに送られ、保存される。
AI判定が使用できる住宅は大和ハウスの主力製品「ジーヴォシグマ」。今後、木造住宅や集合住宅などの主力製品でもAIの活用を検討する。
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日刊工業新聞 2023年11月7日