貿易赤字2.7兆円も…輸出額が過去最大になったものは?
財務省が19日発表した2023年度上期(4―9月期)の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆7184億円の赤字(前年同期は10兆9075億円の赤字)となり、赤字額が大幅に減少した。赤字は5期連続。エネルギー価格の高騰が一服し輸入額が減少したほか、半導体の供給制約が緩和されたことで自動車の輸出額が半期で過去最大となるなど、輸出額が半期で過去最大を更新した。
23年度上期の輸出額は前年同期比1・4%増の50兆2418億円と、6期連続で増加した。輸出額が半期で50兆円を突破したのは初めて。米国向け自動車の輸出が伸びた。
輸入額は同12・4%減の52兆9602億円となり、5期ぶりに減少した。サウジアラビアからの原粗油や豪州からの液化天然ガス(LNG)、石炭などの輸入が減った。
地域別では、米国向け輸出は同10・6%増の10兆753億円と、5期連続の増加となった。米国からの輸入は同6・0%減の5兆5885億円となり、5期ぶりに減少した。自動車などの輸出が増えた。輸入は医薬品や液化石油ガス(LPG)、トウモロコシなどが減った。
中国向け輸出は同8・2%減の8兆9074億円で、2期連続の減少となった。中国からの輸入は同6・2%減の11兆7725億円となり、6期ぶりの減少となった。鉄鋼や自動車の部分品などの輸出が減少した。スマートフォンやパソコンなどの輸入が減った。
また、19日発表した9月の貿易収支は624億円の黒字で、3カ月ぶりの黒字となった。自動車の輸出額が過去最大を更新したことが主因。輸出額は前年同月比4・3%増の9兆1981億円と、3カ月ぶりに増加した。輸入額は同16・3%減の9兆1357億円と、6カ月連続で減少した。
一方、中国向けの食料品の輸出額は同58・0%減と、大幅に減少した。中国政府が8月に日本産水産物の輸入を全面停止したことなどが響いた。