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「AI×ロボット」でコンビニ無人営業、夜間の人材採用難を解決するか

「AI×ロボット」でコンビニ無人営業、夜間の人材採用難を解決するか

無人営業中は店舗内でロボットが動き、人は立ち入れない

野村総合研究所(NRI)は人工知能(AI)搭載のアーム付きロボットを活用し、有人営業が前提の店舗を夜間だけ無人に切り替えて運営するシステムを開発した。昼間は通常の営業、夜間は無人化といった2通りの店舗運営が可能。コンビニエンスストアなどで深刻化する夜間の人材採用難に“AI×ロボット”で挑む。2024年中に試行版を投入し、技術や知見を磨きあげた上で25年以降に量産受注を目指す。(編集委員・斉藤実)

「ロボットコンビニ」という名称で、約3年がかりで実用化を検討してきた。日中に使っていた店舗を丸ごと自動販売機のように機能させ、無人化と防犯の両立を図れる点が特徴。夜間は来店者が来店できないように物理的に店舗を閉じ、注文や支払いといった接客業務は店頭に設置した専用端末を通じて自動で応対する仕組みだ。

来店者は店先にある専用端末で購入したい商品をタッチ操作で選び、支払いは電子決済で済ませる。これを受け、店内ではコンビニロボットが注文ごとに商品のある場所まで自走。吸着機能を備えたアームを用いて商品をピックアップし、店頭の受け渡しボックスで商品を引き渡す。

NRIの広戸健一郎AIソリューション推進部AIテック・ラボ・グループマネージャーによると、店舗でのロボットの使い方としては世界にも類がないという。レジなしで買い物ができる『アマゾン・ゴー』のようなウォークスルー型の完全無人化店舗とは異なり、多数のカメラやセンサーを必要とせず、最小限の工事や設備配置で導入可能。導入費用は1店舗当たり1000万―1500万円程度で済む。

アーム制御による吸着方式で商品をピッキングする

技術開発の肝は、画像処理AIによるアーム制御だ。手順は最初にロボット搭載のカメラとレーザー光で対象物を認識し、3次元(3D)で距離情報や商品の輪郭なども取得する。次に吸着対象とする対象物の重心を即座に計算し、アーム制御による吸着方式でピッキングする。「一升瓶のような重たい商品は吸着できないが、コンビニの商品ならばおおむね対応可能」(広戸氏)。

「ROS」と呼ぶロボット用のソフトウエア規格の普及に伴い、ロボット開発の差別化ポイントはハードウエアからソフトへと移行しつつある。「同規格準拠のユニバーサルロボットならば安価に調達できる」(同)。

また、店舗の無人化ではウォークスルー方式が脚光を浴びるが、コンビニの場合、昼間は人手で多様なサービス業務を行いたいという要望も多い。NRIはそうしたニーズを踏まえつつ、人手不足という社会課題にも挑む考えだ。

ただ広戸氏は「現時点では商業展開する前段階にある」との認識で、試行版の投入により「ノウハウをためていく」と語る。用途はコンビニだけでなく、夜間に閉店する病院の売店やドラッグストア、空港内の店舗への採用も働きかける方針。防犯機能を生かし、海外展開も視野に入れる。


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日刊工業新聞 2023年10月17日

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