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「メガキャスト」需要狙う…アルミ溶湯150kg搬送可能な注湯システム、豊電子が受注開始

「メガキャスト」需要狙う…アルミ溶湯150kg搬送可能な注湯システム、豊電子が受注開始

豊電子のメガキャスト自動注湯システム

豊電子工業(愛知県刈谷市、盛田高史社長)は、アルミニウム溶湯重量100キロ―150キログラムの搬送が可能な吸引式注湯システムを完成、受注を始めた。アルミ溶湯を格納するコンテナとコンテナ開閉センサー、重量測定ユニット、ロボットなどで構成。これまで溶湯重量40キログラムまで対応していたが、今後自動車業界を中心に、複数の部品を一体鋳造する「メガキャスト」の需要が拡大するとみて大型化した。価格は7000万円(消費税抜き)から。

吸引式注湯システムは炉内にたまっているアルミの溶湯をセラミックス製コンテナ部から吸引、収めて、ロボットによるハンドリングで注湯する。

柄杓(ひしゃく)型のラドル方式や圧送方式に比べ温度ロスが少なくなるため、炉のエネルギー消費の低減につながるほか注湯量のバラつきを抑える。また表面階層よりも下から吸引できるため酸化物の混入を防ぎ、品質を維持しやすい。

コンテナ部と計量などはオーストリアのメルテック社製、ロボットはファナック製を採用し、豊電子工業がシステム構築した。

電気自動車(EV)大手の米テスラがメガキャストを採用し、トヨタ自動車も採用に向け開発を加速している。今後、車両やバッテリー周辺などでメガキャストの採用が進むことが見込まれており、豊電子工業は北米などの販売も検討する。

日刊工業新聞 2023年10月04日

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