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SiCウエハーの製造コスト30%低減 ドライケミカルズが新プロセス

ドライケミカルズ(宮城県名取市、千葉哲也社長)は、パワー半導体の材料となる炭化ケイ素(SiC)ウエハーの製造コストを20―30%低減できるプロセスを開発した。インゴットに溝加工を施してウエハーをより平たんにスライスできるようにし、ウエハー表面の研削や研磨といった後工程の工数を削減する。10月にもウエハーの受託加工と製造設備の外販を開始し、初年度は5―10セットの設備の販売を見込む。

インゴットの切断箇所にあらかじめ砥石(といし)で円周方向に溝を入れ、その溝がワイヤソーをガイドする役割を果たし、ウエハーをより精緻にスライスできるようにする。「SiCは特に結晶が硬く、切断時にドリフトが起こる。溝があれば砥粒(とりゅう)が効果的に入り込み、ドリフトしにくくなる」(池田真朗取締役)ことでウエハー表面へのダメージを最小限に抑える。

厚さ15ミリメートルのインゴットなら20本の溝を入れられ、「砥石は最大40ミリメートルまで対応可能。その場合ウエハーを75枚取れる」(同)。

また、通常は切断後にウエハーの端面を削るベベル(斜面)加工が1枚ずつ必要となるが、池田取締役によると「インゴットに溝を入れる際にベベルも形成されるので、その加工も不要になる。しかも枚葉処理がバッチ処理になるのでさらに効率が上がる」。その結果、切断後すぐに鏡面研削と化学機械研磨(CMP)、洗浄、検査を施すだけで完成品となる。

「研削後のRa(表面粗さ)は通常の1・0ナノメートル(ナノは10億分の1)に対し、0・5ナノメートル以下を実現した」(同)ことにより通常は2段階必要なCMPも1度で済み、薬液使用量や研削・研磨くずの排出も減らせるという。

日刊工業新聞 2023年09月06日

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