スズキが大規模投資に踏み切る…インドに8000億円の狙い
スズキが2031年度までにインドの4輪車生産能力の増強に4500億ルピー(約8000億円)の投資を検討していることが明らかになった。連結子会社のマルチ・スズキ・インディア(ニューデリー)が25年にハリヤナ州で稼働予定の新工場で約100万台、さらに別の新工場で約100万台の年産能力を確保する。インドでは24年度に電気自動車(EV)の投入を始め、30年までに6車種に増やし、バイオ燃料車なども投入する。30年度までに年産能力を現状比2倍近い約400万台に引き上げる計画の実現に向け、大規模投資に踏み切る。
生産増強のための投資計画はマルチ・スズキのR・C・バルガバ会長がこのほど株主総会で明らかにした。投資額は物価動向などによって変化する可能性がある。
インド市場では現地のタタ・モーターズや中国上海汽車傘下のMGモーター、韓国の現代自動車などがEVを投入している。スズキはインド4輪市場で4割以上のトップシェアを握るが、EVの投入で出遅れている。30年に向けてEVのほか、エタノール、バイオガスを燃料とする内燃機関車も投入する計画。すでに投入しているハイブリッド車(HV)や圧縮天然ガス(CNG)車も投入を増やす。
スズキはインドの4輪車生産体制について、完全子会社のスズキ・モーター・グジャラート(SMG、グジャラート州)を23年度中にマルチ・スズキ傘下に移す。マルチ・スズキがインドの4輪車生産を統括し、生産の効率化を進める計画だ。
マルチ・スズキが生産増強の投資を担う一方、スズキは完全子会社のスズキR&Dセンターインディア(デリー)を活用し、先行領域の技術開発やEV用電池、バイオガス事業などに投資していく方針だ。
日刊工業新聞 2023年09月06日