「社会的時差ボケ」は早朝の血圧を過度に上昇させる
早稲田大学の谷沢薫平准教授と中村宣博助教らは、平日と休日の生活リズムのずれによる「社会的時差ボケ」が早朝の血圧を過度に上昇させることを明らかにした。社会的時差ボケで疾患リスクが高まる仕組みの解明や、予防、是正策の研究に寄与すると見込む。
平日と休日の生活リズムがほぼ変わらない若年男性20人を対象に、2時間以上の社会的時差ボケを起こす実験を実施。試行前後となる金曜日と月曜日の早朝血圧を調べた。早朝血圧に影響する動脈硬化度や交感神経活動の変化量も測定した。この結果、一過性の社会的時差ボケが早朝血圧を増大させていた。また動脈硬化度と早朝血圧、交感神経活動の変化量に相関関係が認められた。
心血管疾患は月曜日の朝に起こりやすい。土曜日と日曜日に遅く起きたり夜更かししたりした後、平日の生活に戻る人が多い点が影響していると予想される。
研究グループは早朝の過度な昇圧の仕組みについて検証を続ける。運動や食事による社会的時差ボケの是正策の提案に向けて研究を進める。
日刊工業新聞 2023年月8月8日