塩麹の次は麹ゼリー!みそメーカーの初めてづくし
サクラみそ食品(福岡県久留米市)が拡販目指す
サクラみそ食品(福岡県久留米市、野田豊國社長、0942・35・3818)が、こうじ製品事業を強化している。2015年12月に発売したスティックタイプのゼリー「ピュア糀(こうじ)」は、開発手法や製品の形態、販売先とも同社として”初めてづくし“だ。こうじの新たな食べ方を提案するという狙いもある。
同社は現在、みそ製品とうどん、そばの具材となる乾燥天ぷら製品の2分野を事業の柱とする。さらに13年の創業100周年に「3本目の柱に育てよう」(野田社長)と強化を決めたのが、みそ製造でなじみ深いこうじ分野。新たな柱を求める背景には食生活の変化や少子高齢化などでみその需要が減っていることがある。
こうじ製品は10年以降「乾燥米こうじ」や「塩麹」「醤油(しょうゆ)麹」「甘酒」などを製品化してきた。塩麹ブームで多くの会社から製品が出る中、同社製品は米の甘みを引き出している点などが評価されているという。
「ピュア糀」の開発に着手したのは14年。外部からの支援を受け、開発のプロジェクトチームを組成。そのメンバーは企業支援機関の久留米リサーチ・パーク(福岡県久留米市)、福岡県工業技術センター生物食品研究所(同)、久留米商工会議所など。開発に社外から参加者が入るのは初めてだった。
開発では、製品のターゲットである女性に意見を聞いた。プロジェクトメンバーを通じた依頼や金融機関を含む取引先の協力などで300人ほどに意見を聞き、開発に生かした。
最初の試作は甘酒製品。野田社長は「試食の評価は散々だった」と苦笑する。「食感だけでなく、甘酒自体が苦手という人もいた」(同)。甘酒は女性に受け入れられるとの予想ははずれた。
そして「甘酒」ではなく「糀」を前面に打ち出す。「塩麹」で認知度が高まった「麹」ではなく「糀」の字を使うのは原料である米への思いと「花」が女性受けが良いのではないかとの期待がある。また包装に口をつけたくないという要望から、ゼリーの硬さを調整。ある程度の長さを押し出しても形を保ち、包装に口をつけずに食べられるようにした。
味は果物やヨーグルトなど10種類以上の中から、マンゴー味と福岡県のブランドイチゴ「あまおう」味に絞った。「あまおう」使用は、土産物などとして販路が広げられる可能性を考慮したからだ。今後は福岡県のブランド茶「八女茶」を使う開発計画もあり、こうじの機能性について、九州大学との共同研究の計画もある。
現在「ピュア糀」を売り込んでいるのは薬局やドラッグストア。スーパーなど従来取引のある食品関連をあえて避け、販売ルートの開拓に挑戦している。
(文=西部・関広樹)
同社は現在、みそ製品とうどん、そばの具材となる乾燥天ぷら製品の2分野を事業の柱とする。さらに13年の創業100周年に「3本目の柱に育てよう」(野田社長)と強化を決めたのが、みそ製造でなじみ深いこうじ分野。新たな柱を求める背景には食生活の変化や少子高齢化などでみその需要が減っていることがある。
こうじ製品は10年以降「乾燥米こうじ」や「塩麹」「醤油(しょうゆ)麹」「甘酒」などを製品化してきた。塩麹ブームで多くの会社から製品が出る中、同社製品は米の甘みを引き出している点などが評価されているという。
「ピュア糀」の開発に着手したのは14年。外部からの支援を受け、開発のプロジェクトチームを組成。そのメンバーは企業支援機関の久留米リサーチ・パーク(福岡県久留米市)、福岡県工業技術センター生物食品研究所(同)、久留米商工会議所など。開発に社外から参加者が入るのは初めてだった。
開発では、製品のターゲットである女性に意見を聞いた。プロジェクトメンバーを通じた依頼や金融機関を含む取引先の協力などで300人ほどに意見を聞き、開発に生かした。
最初の試作は甘酒製品。野田社長は「試食の評価は散々だった」と苦笑する。「食感だけでなく、甘酒自体が苦手という人もいた」(同)。甘酒は女性に受け入れられるとの予想ははずれた。
そして「甘酒」ではなく「糀」を前面に打ち出す。「塩麹」で認知度が高まった「麹」ではなく「糀」の字を使うのは原料である米への思いと「花」が女性受けが良いのではないかとの期待がある。また包装に口をつけたくないという要望から、ゼリーの硬さを調整。ある程度の長さを押し出しても形を保ち、包装に口をつけずに食べられるようにした。
味は果物やヨーグルトなど10種類以上の中から、マンゴー味と福岡県のブランドイチゴ「あまおう」味に絞った。「あまおう」使用は、土産物などとして販路が広げられる可能性を考慮したからだ。今後は福岡県のブランド茶「八女茶」を使う開発計画もあり、こうじの機能性について、九州大学との共同研究の計画もある。
現在「ピュア糀」を売り込んでいるのは薬局やドラッグストア。スーパーなど従来取引のある食品関連をあえて避け、販売ルートの開拓に挑戦している。
(文=西部・関広樹)
日刊工業新聞2016年2月26日 モノづくり面