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次世代車開発に不可欠、競合分析支援の需要拡大中

次世代車開発に不可欠、競合分析支援の需要拡大中

三洋貿易は岐阜県瑞浪市の展示場にEV9車種分、約4万点の部品をそろえる

競合他社の車両や部品を分析する「ベンチマーキング」を支援するサービスの需要が拡大している。電動化が急速に進展する中、欧米や中国の最新電気自動車(EV)の分析データは自動車メーカーや部品メーカーにとって重要な情報源。分解調査データ、CADデータ、コスト分析データなどを提供することで、メーカーが自社で調査・分析する工数やコストを省き、次世代車の開発を後押しする。(増田晴香)

三洋貿易、DB販売/部品展示

脱炭素化を背景に技術変化が激しくなる中、社内の発想のみで開発を進めることは難しく、電動化で先行する海外メーカーに関する情報収集は欠かせない。他社の製造工程などとの比較でコスト低減や生産方法の効率化も可能だ。

自動車メーカーは従来、自社でベンチマーキング活動をしてきた。ただ近年は対応できる人材の不足や労力の大きさもあり、独立系企業に委託する例が増えている。客観的な目線から競合との差を把握できることも外注のメリットだ。

専門商社の三洋貿易は新規商材として米ケアソフトの車両分析調査データベース(DB)を販売している。車両・分解部品のデータを格納する「アイスバーグ」は、写真や諸元、サプライヤー情報や材料情報など豊富な情報を掲載する。

実車を1台丸ごとコンピューター断層撮影(CT)スキャンにかけ、3次元(3D)CADモデルを作成する「デジタルツインベンチマーキング」も好評。自社の設計データと他社のCADデータを比較でき、CAE(コンピューター利用解析)にも利用できる。

産業資材第二事業部の光部亮人グループリーダーは「DBの評価は高いが、部品の実物を見たいという要望もある」とする。同社は2022年、EVの分解部品を展示する展示場を岐阜県瑞浪市にオープン。EV9車種分、約4万点の展示部品をそろえた。自動車メーカー、部品メーカーなどが調査や研究目的で訪れる。展示場ではケアソフトの技術も体験でき、販売拡大にもつなげる。

マークラインズ、専用施設で分解・計測

調査会社のマークラインズもベンチマーキング関連事業を拡大している。国内外のエンジニアリング会社が作成した分析調査データの販売に加え、EVのコア部品として注目度の高い電動駆動装置「eアクスル」や電子制御ユニット(ECU)は同社の専門エンジニアが分解し、内製データの販売を始めた。

同社は24年に新たなベンチマーキングの専用施設を神奈川県厚木市に開設予定。既存の「ベンチマークセンター」(神奈川県厚木市)ではできなかった海外製EV車両の分解や計測、CADデータ取得などが新施設で可能になる。内製データの強化でさらに分析領域を拡大する方針だ。

競合他社製品の分解データを基に製造コストを見積もり、顧客のコストと比較・分析するサービスも引き合いが強い。脱炭素対策に対応し部品の製造工程ごとの二酸化炭素(CO2)排出量算出値情報の提供も開始した。

ベンチマーキングの上流から下流まで支援するサービスで顧客の開発の高度化、迅速化を下支えする。


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日刊工業新聞 2023年月6月20日

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