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ゼネコン大手の通期予想…鹿島・清水・大成は営業増益、大林組は営業減益の理由

ゼネコン大手4社の2024年3月期連結業績予想は、鹿島清水建設大成建設の3社が営業増益を見込む。大林組は営業減益だが、工事損失引当金の計上などで大幅増益となった前期の反動が出る格好。需要は半導体関連工場や都市部の大型再開発、国土強靱化に向けた公共工事などが底堅く、手持ち工事も順調に消化する。低採算案件でもバリューエンジニアリング(VE)提案や設計変更などにより、利益改善が進むことが寄与する。

大型工事の竣工や低採算工事で講じた各種対策が奏功し、工事採算は改善が進む。濃淡はあるものの、発注者との価格交渉も効果を上げているようだ。建築分野の採算性を示す完成工事総利益率(単体)を見ると、24年3月期は鹿島が前期を1・2ポイント上回る9・7%を見込み、清水建設と大成建設もそれぞれ5・0%、3・9%に改善する。大林組も同1・4ポイント悪化ながら、6・9%を予測する。

ただ、今後しばらくは低採算工事の消化が続く。建設現場の慢性的な担い手不足などで新規工事に向ける施工余力は縮小しており、工事採算の本格回復には時間を要するとの見方が多い。また24年4月に迫る時間外労働の上限規制適用により、労務費はもう一段の上昇が想定される。このため各社とも、足元では建設資材や労務費の上昇を協議事項として織り込んだ受注活動を徹底している。

日本建設業連合会によると、23年3月時点の資材価格は21年1月に比べ平均28%上昇した。建築で同29%、土木は同25%の上昇となる。一方、技能労働者の労務単価は全国全職種の平均で9・1%上昇。特にダクト工や配管工、塗装工などの上げ基調が強い。材料費の割合を50―60%、労務費を30%とすると、仮設費や経費などを含む全建設コストは平均17―20%増加した計算になるという。

日刊工業新聞 2023年05月17日

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