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三菱電機が製品化へ、運転手の体調異常を検知するシステムのスゴい精度

三菱電機は、運転手の脇見や居眠り運転を検知する「ドライバーモニタリングシステム(DMS)」のカメラを活用し、脈拍や血圧変化などの生態情報を非接触で推定し、運転手の体調異常を検知するシステムを開発した。運転姿勢を保ったまま疾患などで意識を消失する事態なども検知し、事故防止に役立てる。大学病院との連携で患者データの蓄積をしており、実車走行などでの評価を経て、2025年以降に製品化する。

DMSによる顔の映像から、脈動に応じた血液流量の変化で生じる肌の明るさの微細な変化を抽出し、独自開発の人工知能(AI)が脈拍数や血圧の変化などの生態情報を推定する。走行中でも顔の動きを安定して追尾するフェーストラッキングの技術なども用い、運転中の検出精度97%を実現した。

さらに別のAIがこれらの生態情報の変化から、体調異常を検知する。心疾患による発作では95・2%の精度で検知できるという。また、体調異常の発生から3秒以内の検知率は約70%となる。異常を検知した際は車両安全システムが自動車を路肩へ迅速に停車させるなど、事故の防止に役立てていく。

日本では心疾患に加え、「てんかん」と脳血管疾患が運転手の健康状態に起因する交通事故の三大要因になっているという。DMSのカメラから体調異常時の姿勢崩れなどを検知するが、運転姿勢を保ったまま意識を消失することも多く、対策が求められている。

従来技術と今回開発した技術の比較(三菱電機の発表資料より)

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日刊工業新聞 2023年04月19日

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