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日本発「ペッパー+ワトソン」 仕事の現場にいよいよ現る

日本語対応のエンジンが完成。「人型ロボット」もっと身近に

ワークスタイルの改革を提案するソフトバンク


 ソフトバンクはロボットとAIを成長分野と位置づけ、人型ロボット「ペッパー」とワトソンを連携させる。対話能力にたけ、人の感情さえ読み取るロボットとしてペッパーを訴求しており、ワトソンを搭載して利用シーンを広げる。宮内謙社長はロボットとAIの融合について、「少し先の世界のように思えるが、すぐに実現できる」と自信をのぞかせる。

 企業にとってロボットとAIの組み合わせは効果が大きい。例えば面会を約束していない取引先の担当者が突然来社した場合、ペッパーが顔認証により担当者であることを認識し、応対する社員に連絡する。将来はごく当たり前の光景になる。

 ソフトバンクとIBMは、ペッパーとワトソンを普及させるためにアプリケーション(応用ソフト)の拡充を重視している。ペッパーがさまざまな業務に対応するために、ソフトバンクがアプリ会社など200社以上と連携するように、ワトソンを生かすアプリの開発の輪も広がっている。

 こうした動きは米アップルや米グーグルがスマホ向けアプリの流通で主導権を握った戦略と重なる。ソフトバンクがロボットアプリ市場を先行して形成する上でも、IBMとの関係強化は重要な意味を持つ。

究極の相談相手


 ソフトバンクは社内でワトソンを活用し、ワークスタイルの改革に動きだしている。社員が業務をこなす上で、ワトソンに“究極のアドバイザー”としての役割を担わせるのが狙いだ。同社には新サービスや製品の投入に向けて、まず社内に導入して使いこなしてみるという企業風土が根付いている。

 いずれはワトソンを利用し、働き方を変えるサービスも提供することになるだろう。またワトソンで遺伝子情報や食事の献立などのデータを解析し、スマホ向けアプリを通じて生活習慣の改善を提案するサービスも3月以降に始める。
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日刊工業新聞2016年2月17日「深層断面」より抜粋
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
人型や動物型など擬人性を感じさせるロボットは、優れたインターフェースとして大きなポテンシャルを持つ。これがワトソンとつながれば、できることや利用方法は格段に増える。ただ記事中にある受付やコールセンターといった用途では、ペッパーやワトソンである必要性が薄い気もする。しかもペッパーは移動したり作業したりするのは苦手だ。「そこまで動けないけど知能の高い人型ロボット」ならではの使い道は何か、数々のアプリ開発と平行して試用しながら見極めていくことになるのだろう。個人的にはもっと賢くなったシャープのロボホンが職場の机にいて、アドバイザーみたいに働いてくれたらいいな、と思う。ロボホンは持ち運べるし。・・・ペッパー、ごめんなさい。

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