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植物の栄養繁殖を制御するホルモンが見つかった

植物の栄養繁殖を制御するホルモンが見つかった

栄養繁殖で増えるゼニゴケ

東北大学の経塚淳子教授らは、植物の栄養繁殖を制御するホルモンを発見した。まだ同定されていない植物ホルモン「KL」に注目。コケ植物ゼニゴケのクローン繁殖体である無性芽の形成がKLによって決まることが分かった。環境に合わせてKLが関与する伝達信号のオン・オフを制御し、栄養繁殖が調節されることを見いだした。植物が持つ増殖力の起源の解明につながると期待される。成果は、国際科学誌カレント・バイオロジーに掲載された。

KLの信号伝達経路で働く遺伝子の機能を解析した。信号伝達を抑制する因子を欠損させると無性芽が増えることが分かった。蛍光たんぱく質でKLの信号が伝達される部位を観察。若い株だと全域に信号が伝わるが成長が進むと伝達部位が限定的になった。一定数の無性芽が形成されるとKLの信号伝達が停止することを見いだした。KLの信号を適切にオンからオフに切り替え、無性芽の数を制御することが明らかになった。

コケ植物の栄養繁殖は古くから研究され、栄養や光条件、湿度など環境変化に応じて栄養繁殖を調節することが知られている。だがその調節の仕組みは分かっていなかった。

日刊工業新聞 2023年03月22日

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