業界最高の光子検出効率、ソニーセミコンの最新「SPAD距離センサー」でスマホが進化する
ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS、神奈川県厚木市、清水照士社長)は、スマートフォン用として業界最高の光子検出効率28%を実現したSPAD距離センサー「IMX611」のサンプル出荷を始めた。光源から対象物に反射した微弱な光子を検出して対象物との距離を高精度に測れ、スマホ全体の消費電力削減につながる。消費税込みのサンプル価格は1000円。10月の量産出荷開始を目指す。
SPAD画素は光源から対象物に反射して戻ってくる間の光の飛行時間を検出して距離情報を取得する直接タイムオブフライト(dTOF)方式の受光素子。入射した一つの光子から雪崩のように電子を増幅させる「アバランシェ増倍」と呼ばれる技術を使う。
SSSはSPAD画素に独自の構造を採用して、業界最高の光子検出効率を実現した。センサーは1/8・1型(対角2・2ミリメートル)サイズで有効画素数は約2・3万画素。
暗い環境におけるオートフォーカス(AF)性能の向上や被写体背景のボケ処理に活用できる。3次元(3D)空間認識などが可能になり、メタバース(仮想空間)向けヘッドマウントディスプレー(HMD)などの機能進化にもつながる。
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日刊工業新聞 2023年03月14日