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次世代電子デバイスに道、名大がチタン酸バリウムで「強誘電体ナノシート」合成に成功

次世代電子デバイスに道、名大がチタン酸バリウムで「強誘電体ナノシート」合成に成功

チタン酸バリウムナノシートの懸濁液と原子間力顕微鏡像(名大提供)

名古屋大学の邊基男大学院生と長田実教授らは、チタン酸バリウムの強誘電体ナノシート(ナノは10億分の1)の合成に成功した。厚さは1・8ナノメートル。結晶の単位格子三つ分の厚みしかない。強誘電体はコンデンサーやメモリーなど幅広く使われる。ナノシートを重ねて作る次世代電子デバイスにつながる。

酸化チタンのナノシートに水酸化バリウムを反応させてチタン酸バリウムを合成する。酸化チタンナノシートは反応性が高く、60度Cと温和な条件でも反応が進む。この反応時間でナノシートの厚みを制御できた。

チタン酸バリウムナノシートを一枚一枚圧電応答力顕微鏡で計測すると、単位格子三つ分の厚さ1・8ナノメートルまで強誘電体として機能した。単位格子二つ分の厚さ1・4ナノメートルでは特性が消える。

強誘電体は力がかかると電圧を生じる。懸濁液の塗布で作る極小の力センサーになり得る。セラミックコンデンサーでは強誘電体層の厚みは100ナノメートル程度。1・8ナノメートルになれば容量が50倍になる。

日刊工業新聞 2023年02月22日

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