京セラが売上高4000億円へ、切削工具「世界最適生産」の中身
京セラは切削工具事業のグローバル拠点の強化に乗り出す。2024年度(25年3月期)までにインドとベトナムの工場で生産能力と生産品目を拡大。米国では22年度中に物流拠点やテクニカルセンターなどの一部機能を再編・統合する。同社は切削工具を含む機械工具事業で、売上高を28年度までに22年度見通し約30%増の4000億円に伸ばす目標を打ち出している。立地ごとに機能を最適化することで成長を加速させる。
インドでは東部のジャールカンド州の工場に新たに機械設備などを導入し、ミーリングやドリル、ソリッド(刃部・本体一体型)工具などの生産を始める。従来は現地企業向けに主に旋削チップを手がけていた。日系企業も多く進出するインドを成長市場と位置付けており、製品拡充・生産能力増強を急ぐ。
ベトナム工場では生産スペースを拡張し、機械設備を導入。生産能力を増強するとともに、中国向けに高精度なG級チップやミーリングチップなどの生産品目を拡充する。これまでベトナム工場では中国向けに溝入れチップなどを生産。中国の生産拠点で増産余力がないことに加え、人件費の高騰もあるため、ベトナムからの供給を拡大する。
一方、米国では16年に買収したSGSツール(現京セラSGSプレシジョンツール)の拠点と京セラの拠点で重複している機能を統合。余裕のある京セラSGSへの機能移管を中心に、テクニカルセンターや物流拠点の機能を最適化する。
京セラの切削工具事業は自動車向けが売上高の約6割を占める。半導体製造装置を含む一般機械や航空機、建設機械、医療分野向けに製品群を拡充するとともに、グローバル拠点の最適化を進めている。
日刊工業新聞 2023年02月17日