劇薬マイナス金利、金融機関「一人負け」
特に影響が大きいのはゆうちょ銀行。運用の約半分が国債でリスクとりずらく
資産運用も打撃
マイナス金利は資産運用の現場にも影響を及ぼす。野村アセットマネジメントなど国内の主要資産運用会社は、相次ぎMMF(マネー・マネジメント・ファンド)の購入受け付け停止を表明した。MMFは短期国債などで運用するため、債券市場の利回りが低下すると安定運用が難しくなるためだ。
「MMFの購入停止で、行き場を失ったマネーがJ―REIT市場に流入している」と、SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は分析する。1月21日に1607だった東証REIT指数は、足元で1800を超えた。そのほか配当利回りが高い一部の株価が上昇している。
マイナス金利導入時は、一段の金利低下により、株式や投資信託に資金が流入するという期待もあった。ただ1週間たつとお祭りムードは過ぎ去り、株価は再び下落基調に。衆院予算委員会では民主党議員に「(マイナス金利の有効性は)三日天下だった」と糾弾される始末だ。
マイナス金利の功罪を語るにはまだ早すぎるが、過去2回の金融緩和に比べ株高は早期に終了。為替も円安どころか、「黒田フロア(下限)」と呼ばれる防衛ライン、1ドル=115円をあっさりと超えた円高水準になり、110円台まで急騰した。市場では金融政策の限界論を唱える声が日増しに大きくなっている。
日刊工業新聞2016年2月11日金融面