車載事業黒字化狙う日本電産、「汚い垢を全部整理する」(永守会長兼CEO)
日本電産は24日に開いた決算会見で、車載事業を立て直す方針を示した。欧州車載事業の業績不振などを踏まえ、2023年3月期通期で計上する最大約500億円の構造改革費用のうち、大部分を車載事業に投じる。永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は「創業50周年前に、汚い垢(あか)を全部整理する」と強調。車載事業の24年3月期の黒字化を目指す。
欧州での車載事業については、品質問題など「前社長の負の遺産」(永守会長兼CEO)があるとし、24年3月期以降の減益予防のため、製品リコールに対する引き当て金の準備などに「構造改革費用全体の8割を充てる」(同)。製造コストが前世代よりも低い次世代の電気自動車(EV)駆動用装置「イーアクスル」開発にも充てる。
車載事業は22年4―6月期まで営業赤字が続いていたが、中国のゼロコロナ政策などが影響し、22年7―9月期では54億円の営業黒字に転換していた。
営業益1100億円に下方修正
日本電産は24日、2023年3月期連結業績予想(国際会計基準)の営業利益を期初予想比1000億円減の1100億円(前期比35・4%減)、当期利益を同1050億円減の600億円(同55・8%減)に下方修正した。車載事業を中心に構造改革を実行するためで「(営業利益の下方修正)1000億円のうち7割が構造改革費用」(佐村彰宣常務執行役員最高財務責任者〈CFO〉)となる。
22年10―12月期では欧州の車載事業を中心に構造改革費用として約128億円を計上した。そのため成長の柱と位置付ける車載事業は、同期で80億円の営業赤字に転落。さらに構造改革を進めることで、23年1―3月期は全社でも144億円の営業赤字となる。
足元ではIT機器・家電の出荷減や自動車生産の回復遅れなど、市況が悪化。ハードディスク駆動装置(HDD)市場縮小や、データセンター関連での急激な在庫調整が業績の足を引っ張った。
【関連記事】 東芝のニュースをまとめて読める「ジャーナグラム」はこちらへ