IHIなどが運行開始、国内初「グリーンメタンバス」の全容
IHIと福島県相馬市は、再生可能エネルギー由来の水素で合成したグリーンメタンを燃料とする自動車の運行を市内で始めた。合成メタン燃料での自動車運行は国内初という。IHIと市が連携して運営する施設で、二酸化炭素(CO2)と水素からメタンを製造する。市が運行する8人乗りのコミュニティーバス(写真)を運行する。
メタンは、そうまIHIグリーンエネルギーセンター(福島県相馬市)の「そうまラボ」で生産する。太陽光発電の電気による水の電気分解で生成した水素とCO2を高性能触媒で合成してグリーンメタンガスを製造。IHIはグリーン水素で製造した脱炭素燃料を活用する地産地消に向けた研究を推進する。
自動車の構造は燃料供給系統を除いてガソリン車と同じで、メタンガスの容器に高圧で充填する。圧縮天然ガス(CNG)の国連基準である「UNR110規格」に準拠した容器を使用する。ガス業界はグリーンガスの比率を高めていく方針で、グリーンメタンは天然ガスステーションなどを利用した自動車向け需要を見込む。
立谷秀清相馬市長は「新時代のグリーンエネルギーを市のバスへ供給して国連の持続可能な開発目標(SDGs)を体現し、事業を伸ばしていきたい」とした。
日刊工業新聞 2023年01月24日