投資額は27年度に10兆円規模、政府がまとめたスタートアップ育成策の全体像
首相「日本をアジアのハブに」
岸田文雄政権の看板政策「新しい資本主義」の柱の一つであるスタートアップ育成策の全体像がまとまった。政府は28日にも「新しい資本主義実現会議」を開き、現在は年間8000億円規模のスタートアップへの投資額を2027年度に10兆円規模とする「スタートアップ育成5カ年計画」を決定する。岸田首相は「計画を着実に実行し、日本をアジア最大のスタートアップハブとする」と意気込む。
政府はこれまでもスタートアップ支援に力を入れてきたが、開業率や時価総額10億ドル(約1390億円)を超える未上場企業のユニコーンの数は、欧米と比べて低水準で推移している。現状を打開するため、現在6社のユニコーンを100社に、現在1万社のスタートアップを10万社にそれぞれ引き上げる目標を打ち出した。
今回、策定した5カ年計画では数値目標と時期を明確に定めている。目標達成に向け、①人材・ネットワークの構築②資金供給の強化と出口戦略の多様化③オープンイノベーションの推進―を3本柱に据えて取り組む。予算や税制、立法措置、金融など政策を総動員してスタートアップ支援に注力する構えだ。
日本を代表するグローバル企業もその多くが、かつては終戦直後に若者が創業したスタートアップだった。岸田政権は戦後の創業期に次ぐ、日本の「第2創業期」を実現させ、日本経済を再び成長経路に乗せたい考えだ。経済再生が待ったなしの状況の中、計画の迅速な実行が求められる。
日刊工業新聞 2022年11月28日