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旭化成が技術確立、電池性能3割高める「革新電解液」の正体

旭化成が技術確立、電池性能3割高める「革新電解液」の正体

欧州統括拠点内にR&Dセンターを移転し、迅速な顧客対応や現地の共同開発プロジェクトを推進

旭化成は欧州で環境関連技術の開発を加速する。欧州の電池試作会社と協力し、リチウムイオン電池の性能を最大で30%高める革新電解液の評価を行っている。試作会社のネットワークを通じて世界の電池大手へ訴求する。このほかにも再生可能エネルギーで水素を製造するアルカリ水電解などの新技術群を環境先進地域の欧州へ展開する。

革新電解液はアセトニトリルを含む高誘電率の電解液。日本で技術を確立した。電気を流しやすい電解液により、電池特性を上げられる。欧州はオープン・イノベーションが盛ん。協力相手の電池試作会社との電池を用いた性能評価を通じ、革新電解液技術は電池大手から注目されており、旭化成は手応えを感じている。ビジネスモデルは検討中で、早期の技術採用を目指す。

環境技術への関心が高い欧州は、開発の最終段階を担う場として期待される。旭化成は2018年からドイツでアルカリ水電解技術の実証実験を実施している。ゼオライトを用いてバイオガスからメタンを分離・精製する技術やセルロースナノファイバーを配合したエンジニアリングプラスチック、発泡エンプラも商機があるとにらむ。

同社は21年に欧州のR&Dセンターをドイツ・デュッセルドルフの欧州統括拠点内に移転し、強化した。同センターの敷地面積は約3000平方メートルで、合成ゴムの混練機やプラスチック押出機、発泡体製造設備、各種分析設備を備える。同センターでの研究開発はプラ・ゴム関連が中心だが、環境技術の欧州展開への協力も重要な役割となる。


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日刊工業新聞2022年10月21日

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